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 各社のモバイル導入の契機は様々だが、トップからとりあえず導入するように指示されるケースはIT部門の方が最も頭を悩まされる状況だろう。まず導入の費用対効果評価のためのKPIが設定しづらい。他にも、構築概要を報告したら「何かもっとできるはず」と指摘され再報告するはめになったというケースもある。

 また別のケースとして、営業部門が独自にモバイルを導入していたが、セキュリティの問題が発生し営業部門で対応できなくなった、また運用が思うように上手くいかずIT部門に泣きつく結果となったというケースもある。

 そのような中で、モバイルを前提にしたシステム構築時に考えるべきことは何か、見ていきたい。

未来予想図を描き、前広に備える

 モバイル導入ほど各社でバラツキがでるものはない。対象業務範囲も決まっておらず、ワークフローのみで使用する場合、営業活動全般を支援する場合など千差万別だ。また導入対象も数十台でパイロット的に開始する場合から、最初から数千台レベルで導入する場合までバリエーションに富む。

 加えて、モバイルは速いスピードで進化するため、将来が見越せないという不確実性も存在する。

 したがって、モバイルありきのIT基盤構築ではロードマップを策定し、長期に及ぶ時間軸で整理しておくことと、将来の不確実性をマルチ対応で備えるという2軸で対応すべきである。

 まず導入前の時点で、ロードマップに将来像や展開の見込みなどを織り込んでおくべきだ。最初は数十台の小規模導入の場合でも、あらかじめ段階を追って展開・拡大していく事を想定した上で、端末選定やMDM導入などを実施すべきである。そうしなければ、後々の展開だけでなく運用も大変になる。

 そのため、デバイスの検討、セキュリティ対応の検討、運用方法の検討などを先を見越した形で行う必要がある。それは、例えば小規模導入の場合はIT部門の要員だけでデバイス運用対応ができたとしても、規模が拡大するにつれて段々と手に負えなくなり、気付いた時にはサードパーティーに委託しなければ運用が回らないなど、後手にまわらないように、あらかじめ備えるためだ。

 他にもモバイルの活用シーンの広がりに伴い様々なアプリが作られるようになった際、配信の仕方(マーケットプレイスを使う/使わない)によって配信の準備と受信したユーザー側の対応が変わるというケースもある。

 一方マルチ対応は、未来の激しい変化を前提にしたデバイスやスクリーン、OS、ネットワークなどに対応する基盤を構築していくということである。最近、BlackBerryの日本市場撤退のニュースがあったように、将来どのような構図になるかは分からない。Windows 8の台頭も予想される。将来、マルチデバイス・マルチOSの構成になる場合や、現在対象としているOS以外の端末がスタンダードになった場合に対応できるようなマルチデバイス・マルチOSに対応できる開発・実行基盤を構築するなどは有効な打ち手である。

 ロードマップがあれば、未来を見越した準備を段階を追って実施することができる。また環境が変化した場合には、ロードマップを微修正していくことで、大幅な予定外の対応やコストが発生するリスクを軽減することができる。