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 データセンター(DC)業界ではいま、地殻変動が起きている。これまでシステムインテグレーターやホスティング事業者に対してDC内のスペースやラックを貸し出していたDC事業者が、自らクラウドサービス事業に乗り出すケースが増えている。DC事業者による取り組みを分類すると共に、今後の展開を占ってみよう。

 DC事業者には、様々なタイプが存在する。DCの建物を建設・所有し、その中のスペースをフロア単位やケージ(サーバールーム内に設けた囲い)単位で外部に貸し出すという、不動産業に近いDC事業者がある一方で、施設はDC事業者から借りて、借りたDCのことを「自社DC」と外部に呼称する「持たざるDC事業者」があった。ホスティング事業者やシステムインテグレーターは、後者の「持たざるDC事業者」であることが多い。

DC事業者の中の境界線が曖昧に

 これまでは、不動産業タイプのDC事業者と、ホスティング事業者/システムインテグレーターによる棲み分けが、DC業界に存在した。そんな両者の境界線が、近年は曖昧になっている。

 境界線を先に越えたのは、不動産業タイプのDC事業者だ。自社のDC建物の中で自らサーバーを運用し、外部にクラウドサービスを提供し始めた。NTTコミュニケーションズやKDDI、IDCフロンティアといった通信事業者系のDC事業者だけでなく、アイネットやビットアイル、KVHなど、従来はDCのスペース貸しを主に行っていたDC事業者も、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)を始めている(写真)。

写真●KVHが2011年に開業した「東京第2データセンター」<br>クラウドの拠点でもある。
写真●KVHが2011年に開業した「東京第2データセンター」
クラウドの拠点でもある。
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 この動きとは逆に、これまでDCのスペースを借りる一方だったホスティング事業者やシステムインテグレーターが、DC建物の自社所有に進んだケースもある。北海道石狩市に「石狩DC」を開業したさくらインターネットや、東京都西東京市に「西東京DC」を開業したキヤノンITソリューションズなどだ。新日鉄住金ソリューションズは2012年、東京都三鷹市に「第5DC」を開業したが、同社がDC建物を自前で建設し、所有したのは実はこの第5DCが初めてだ。