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IT化が不正を助長する?

 『予想どおりに不合理』などの著書で知られる行動経済学者の著者は、不正行為の背景にある人間の心理を探求。「不正行為の多くは冷酷な1人の犯人ではなく、多数の人がちょっとした不正行為を自己正当化した結果として生まれる」とする。多くの実験結果から、不正を助長する要素を明らかにしていく。

 興味深いのは現金に比べ、代用通貨ではごまかしが生じやすいという実験結果。著者は「社会のキャッシュレス化が進むにつれ、道徳的指針はますます損なわれるのではないか」と懸念を呈する。IT化が進み、カネはもちろん書類や個人情報もデジタル化され「現物」と乖離するなか、道徳観を保持し、漏洩などの不正を防止していくことの難しさを痛感させられる。

ずる―嘘とごまかしの行動経済学

ずる―嘘とごまかしの行動経済学
ダン・アリエリー 著
櫻井 祐子 訳
早川書房発行
1890円(税込)