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 アスクルは2012年4月27日に、快走するヤフーと業務・資本提携した(関連記事)。ヤフーがアスクルに約42%出資している。提携発表から約1年が経とうとしている現在、アスクルもまた、ヤフーが掲げるスピード重視の“爆速”で動き出し、業績を少しずつ回復させてきている。

 2013年5月期は増収増益(第3四半期決算時点での予想)を見込んでいる。まだまだ課題はあるものの、爆速の原動力になっているのが、2012年10月にヤフーと共同で始めたネット通販サービス「LOHACO(ロハコ)」である。アスクルが得意とするオフィス用品から食品・飲料、日用品まで、早ければ注文の当日に届ける。ヤフーの集客力とアスクルのSCM(サプライチェーンマネジメント)を組み合わせた即日配送が、ロハコの大きな売り物になっている。

 このロハコ、アスクルにとっては初めて尽くしのサービスである。ヤフーとの提携事業の第1弾であるだけでなく、スマートフォンでのサービス開始を第一に掲げてシステム開発をスタートさせている。いわゆる、スマホファーストの実用化案件なのだ。

 2013年3月期に、増収増益を見込む好調なヤフー。同社の宮坂学社長兼CEO(最高経営責任者)は今年度、パソコンよりもスマホを優先してサービスを展開していくスマホファーストに大きく舵を切った。そしてこの考えを、提携したアスクルにも求めた。

 アスクルは、ヤフーが期待するスマホファーストに提携直後から取り組むことになり、ヤフーに引っ張られる形で、結果的にアスクル自身のスピードもどんどん上がってきている。アスクルは2012年7月にはヤフーから出向者を受け入れ、文字通りの共同作業で現場が活気づいてきた。

突然指名されたロハコの指揮官

写真1●アスクルの吉岡晃取締役BtoCカンパニーCOO(写真:北山 宏一)
写真1●アスクルの吉岡晃取締役BtoCカンパニーCOO(写真:北山 宏一)

 ロハコは当初、ヤフーとアスクルの融合の意味から名付けれられた「ヤスクル」の“コードネーム”で呼ばれていた。

 ヤスクルの指揮官に指名されたのは、吉岡晃取締役BtoCカンパニーCOO(最高執行責任者)である(写真1)。ヤフーとアスクルの提携発表の翌日、当時メディカル&ケア担当の執行役員だった吉岡氏はアスクルの岩田彰一郎社長兼CEOから直接電話をもらい、「提携案件をよろしく頼むよ」と打診されたという。両社の提携交渉はトップ同士で極秘裏に進められていただけに、吉岡氏はヤフーの宮坂社長に会ったこともない。

 突然の指名に「私が一番驚いた」と吉岡氏は振り返る。だが2012年7月に吉岡氏は岩田社長の右腕となるCOOにも抜擢されていることからも分かるように、岩田社長が相当の期待を寄せていたことは間違いない。メディカル業界向けの通販サービスをゼロから立ち上げた吉岡氏に、ヤスクルは託された。

 2012年5月、両社のCEOや吉岡氏を交えた初めてのステアリングコミッティーが開かれ、この席で「スマホファーストが『未来への確信』であることが確認された」(吉岡氏)。当面の売り上げ規模を考えれば、当然パソコン向けのサービスが優先されてしかるべきところを、両社のCEOは「スマホを先にする」と即決したのである。これで腹が決まった。