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第3勢力はマルチOS時代への布石

写真9●Tizenをインストールした韓国サムスン電子製のスマートフォン
写真9●Tizenをインストールした韓国サムスン電子製のスマートフォン
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 HTML5は第3勢力のモバイルOSを語るうえでのキーワードである。ローカルの様々なデバイスへの対応など課題はまだ残るものの、アプリのHTML5化が進むのであれば、それは通信事業者、特にOTTを快く思っていない事業者にとっても都合がよい面もある。

 アップルの「App Store」や、グーグルの「Google Play」といったアプリマーケットに頼らず、通信事業者自らが提供することが可能であり、何より特定の企業にコントロールされない自由を得られる。HTML5化は特定のプラットフォームに縛られないための手段であり、この点で通信事業者はFirefox OSを支持しやすい。「アプリとWebの間にある壁を取り壊す」ことは、通信事業者にも“響く”メッセージなのだ。

 Firefox OS以外の第3勢力OSも事情は同じだ。

 NTTドコモ 取締役執行役員マーケティング部長の永田清人氏が議長を務めるTizen Associationは2月26日、MWC2013に合わせてプレスカンファレンスを開催。同団体がビジネス展開を進めるオープンソースのモバイルOS「Tizen(タイゼン)」について実機を用いながら現在の状況や今後の展開などを説明した(写真9、関連記事:Tizen搭載スマートフォンは年内登場、ドコモも年内投入を検討)。

写真10●Tizen Associationの説明会の様子
写真10●Tizen Associationの説明会の様子
韓国サムスン電子や米インテル、フランステレコム傘下のオレンジ、中国ファーウェイの幹部とともに壇上に立つTizen Association議長のNTTドコモ 取締役執行役員マーケティング部長 永田清人氏(写真左)
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 Tizen(Tizen Mobile)は、C/C++でネイティブアプリを開発することができるものの、やはり開発の中心に据えるのはHTML5である。NTTドコモの永田氏はTizenについて、「HTML5へ動き出すためのドライバーの役割を期待している」と説明(写真10、関連記事:「TizenをHTML5へシフトするドライバーに」、NTTドコモの永田氏)。将来的なマルチOSの時代を見据えたものであると語る。

 もうひとつ、MWC2012で第3勢力のモバイルOSとして来場者の注目を集めたのが英カノニカルが開発するLinuxベースのモバイルOS「Ubuntu for phones」(説明資料では、「Ubuntu on smartphones」との表記もある)だ(写真11、関連記事:Firefox OSの対抗馬、スマートフォン版「Ubuntu」をデモ実演)。英カノニカルはネイティブアプリだけでなく Ubuntuで動作するアプリの開発環境としてHTML5を挙げる。さらに同社は、UbuntuにおいてHTML5を「a first class environment」と位置付け、HTML5を重視する姿勢を強調している。

写真11●Ubuntuをインストールした韓国LGエレクトロニクスのスマートフォン「Nexus 4」
写真11●Ubuntuをデモする英カノニカルのブース
写真11●Ubuntuをインストールした韓国LGエレクトロニクスのスマートフォン「Nexus 4」(左)と同展示ブース
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 現状Ubuntuは通信事業者や端末メーカーとの提携などが発表されておらず、現状はその普及のための戦略なども見えていない。前述のモジラのNightingale氏はUbuntuについて「我々の18カ月前と同じ立場にあるように思える」と感想を述べつつ、「HTML5を採用する方向に進んでもらえれば、我々は競争ではなく協力してやっていけると思う」とも語る。

 Firefox OS、Tizen、Ubuntuと第3勢力のスマートフォンOSが話題をさらったMWC2013。OSが話題にはなったが、その実、HTML5の普及による“脱OS”とも言えるマルチOSの時代を見据えた動きがその底流にはある。第2回は、スマートフォンメーカーの対応について解説する。