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OTTとの協力、そして通信事業者自らOTT化

 OTTに関する議論は今に始まったわけではなく、数年前からくすぶり続けている問題である。このOTTに対して通信事業者はどのような対応を取るのか。トラフィックや制御信号への対策などはこれまでもなされてきたが、どちらかと言えばOTTに対して“消極的”に関わる対策だ。

 一方、OTTに対して積極的に関わろうとする対策が、自らがいち早くOTT化してそこから収益を得られるようにすること、もしくはOTTと利益を分かち合えるような協力関係を築くことだ(関連記事:低価格端末でネット利用者を2倍に、NokiaやMozillaの世界戦略)。「第1回 Firefox OSが話題の中心、モバイルOS競争は“脱OS”はじめの一歩」で動向を解説したFirefox OSに代表される第3勢力のモバイルOSは、こうした状況の中で登場したOSである。

 第3勢力のOSは動作環境の要求仕様が低いことから、米グーグルのAndroidを採用するよりもハードウエアコストを一般に安価にできるだけでなく、携帯電話事業者が自らのサービスをバンドルするハードルも低い。第3勢力のOSはこの点において通信事業者のOTT化を手助けするといった見方もできる。

写真3●GSMAで標準化されたRCS(リッチ・コミュニケーション・スイート)である「Joyn」に対応するスマートフォン
写真3●GSMAで標準化されたRCS(リッチ・コミュニケーション・スイート)である「Joyn」に対応するスマートフォン
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 ユーザーがOTTのサービスを使う理由の一つとして、冒頭のエリクソンのEngstromer氏は料金の安さや優れたユーザー体験の提供を挙げる。実際、多くのコミュニケーションサービスは無料で提供されており、しかも使い勝手もいい。むしろ利用されるのは当然とも言える。ただ一方でこうしたOTTのサービスをユーザーが享受できるのは、信頼性の高い「テレコムのプラットフォームの上でサービスをしているから」(同氏)でもある。

 この“テレコム”の利点を訴求できれば、OTTに対抗、もしくはOTTと協力していけるといった考えをEngstromer氏は示す。通信事業者がOTTよりも有利なサービス分野として、同氏はGSMAで標準化されたRCS(リッチ・コミュニケーション・スイート)である「Joyn」(写真3)やLTEによる音声サービス「VoLTE(Voice over LTE)」「Video over LTE」などを挙げる。

 実はこうしたOTT化を上位のサービスレベルで既に実践しているとも言える携帯電話事業者がいる。「安全・安心」を訴求し「総合サービス企業」を目指しているNTTドコモだ。携帯電話事業者としてはOTT化の先頭を走っているとも言える。