PR

 私は2011年6月に米国ソルトレイクシティーで開催されたラグビーのU20(20歳以下)世界大会で、日本代表の監督を任されました。

 代表選手は関東や関西の大学生、また高校生からも選抜しています。いずれも強豪チームに属しており、普段は格下の相手との試合が多い選手ばかりです。そんな彼らもU20の世界大会では強豪国と戦い、打ち負かさなくてはなりません。若い選手、しかも普段は所属チームも異なるなかで、海外大会においてどう勝利に導くのか。

「ビジョン、ストーリー、シナリオ」で勝利へ

人材開発コンサルタントの中竹竜二氏
写真●人材開発コンサルタントの中竹竜二氏

 指導に当たり、代表監督して実践してきたのがVSSマネジメントです。VSSはビジョン、ストーリー、シナリオを意味します。

 まずビジョンとはきっちり目標を示すことです。私は世界大会では「決勝でトンガに41対0で勝つ」と選手に宣言しました。トライ数は5つ。自陣ではこんな動きをしよう。そのための基本練習はこうなどと詳しい説明もしています。優勝を最終目標として、3月の強化合宿から練習や指導の在り方などストーリーを固めていきました。

 5月には代表メンバーでの英国遠征も経験しました。現地で4試合をして1勝3敗。特にU20ウェールズ代表との試合では7対119と、100点差を付けられる大敗を喫しました。

 代表選手の中で、100点もの差を付けられて負けた経験があるのは、ただ1人。それだけ“貴重な体験”となったわけです。そこで、私はシナリオ通りに動きます。

 代表選手が、どんな状況でも全力を出せるようにメンタルコーチを付けたのです。実は、メンタルコーチは遠征前の合宿にも招いていました。ところがその時の選手の反応は「僕はメンタル強いですから」というようなものでした。

 ところがウェールズ戦の大敗の後はどうでしょうか。試合のビデオを見ると、明らかに動揺している選手、放心した選手、相手を過大評価して動けない選手が映っています。

 彼らと一緒にビデオを見てから、メンタルコーチを紹介すると今度は真剣に課題克服に取り組みます。痛みを伴って初めて必要性を実感することもある。それを若い選手に伝えるのも、私のシナリオなのです。

 このような場面を乗り越えながら、ストーリーを展開してビジョンに近づいていきます。もちろん私が描くだけではなく、それを選手に共感してもらうことが大切です。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

日経クロステック登録会員になると…

新着が分かるメールマガジンが届く
キーワード登録、連載フォローが便利

さらに、有料会員に申し込むとすべての記事が読み放題に!
日経電子版セット今なら2カ月無料