PR

 京セラ創業者の稲盛和夫氏が第二電電を立ち上げ、2000年にKDD・日本移動通信と合併してKDDIが発足するまでの舞台裏を描いた書。稲盛氏をはじめ、関係者への綿密な取材に基づいて構成したノンフィクションとなっており、読みやすく面白い。2010年3月発行の「挑戦者」を改題・文庫化したもので、巻末には稲盛氏の一文が寄せられている。

 前半は1985年の通信自由化から固定電話サービスの立ち上げまで、後半は携帯電話サービスの開始からKDDIに合併するまでの経緯が、それぞれ描かれている。両角寛文氏や高橋誠氏、石川雄三氏、雨宮俊武氏といったKDDI幹部が随所に出てきては悪戦苦闘する姿が描かれており、感慨深いものがある。NTTの真藤恒氏による助け舟、3社合併前のトヨタ自動車との水面下の攻防なども興味深い。ただ第二電電の視点で書いてあるため、美談に終始している印象も若干受けた。


稲盛和夫 独占に挑む
渋沢 和樹 著
日本経済新聞出版社発行
840円(税込)