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 「身の回りを一通り片付けたので、もうこれで終わりですね」──。職場で片付けをイベント化して、全員がデスク周りや共有スペースの片付けを終えると、部下からはきっとこんな声が聞こえてくることだろう。

 さてマネジャーは、この言葉にどう反応していけばいいのだろうか。その時のリアクション次第で、これから後々まで続く片付けプロジェクトの行く末が決まってくると言っても過言ではない。読者のみなさんなら、この部下のつぶやきにどう答えるか。

 正解は色々と考えられるが、私はこの質問に答える前に、まずは片付けを推進するマネジャーが自分自身に、次の質問をしてみる必要があると考えている。それは「何のための片付けですか?」というものだ。

 もしも片付けが社内清掃として、オフィスを単に「スッキリさせること」が目的だとしたら、一度ある程度きれいにしてしまえば、確かにそこで終わりなのかもしれない。ただ、「掃除」が目的なのであれば、清掃業者にお願いした方がかえって効率的であり、かつ低コストに目的を達成できる。

 改めて、何のための片付けなのかと考えてみると、ぱっと視界が開ける。すると部下の意識レベルの差で、片付けには「3つの段階」が考えられることが分かってくる。

 第1段階は「スッキリとした気分で仕事ができるため」という快適さというレベル。第2段階は「仕事の効率を上げる」という生産性やコストを考慮したレベル。そして第3段階は「仕事の質が高まる」、つまり、仕事のパフォーマンスと顧客満足度向上のための片付けである。

 これらの3段階を踏まえたうえで、冒頭のような部下に、マネジャーはまずこう尋ねてみる。「誰のための片付けですか?」と。