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 「DevOps」という言葉が叫ばれるのは、逆にいえば現状では開発と運用の間に大きな壁があるからだ。では、その壁とは具体的にどのようなものなのか。どうすれば突き崩せるのか。現場経験の長い40歳前後のITエンジニア4人が集まり、赤裸々に語り合った。

(聞き手は中山 秀夫=日経SYSTEMS

開発と運用の役割分担は現場によって異なります。皆さんの現場での役割分担と、そこで起こっている問題についてお聞かせください。

40 歳代男性、金融大手のシステム部門で、開発のプロジェクトマネジャーを務める。PMOに所属したとき、開発と運用の両チームの協力関係の構築に取り組み、失敗した経験を持つ

Aさん:当社は金融サービスを手掛けており、ITエンジニアは数百人います。開発と運用は別組織です。開発部門は、アプリケーションの新規開発と保守開発を行います。運用部門は一般的な運用保守業務に加え、基盤の構築も担当します。それゆえ、開発部門と運用部門は密接に協力しながら仕事を進めなければならないのですが、現実はそうなっていません。

 私は開発部門のエンジニアですが、しばらくの間PMOにいて開発と運用の協力関係を強化する活動に携わりました。そのとき改めて分かったのは、一部の例外を除くと、ほとんどコミュニケーションがなく断絶していることです。まるで、別の会社が同じ建物の別のフロアーに同居しているかのようです。

断絶しているといろんな不都合がありそうですね。

Aさん:そうです。開発も運用もうまくいかない。内情を説明しましょう。当社では、プロジェクトのステージによって、システムがどちらの所有物であるのかが変わります。プロジェクトが終わるまでは開発チームのもの、リリースしたら運用部門のものです。自部門が所有しているときは、相手に余計なことはさせない。口出しもさせない。そんな意識が働いています。これが大きな問題を生んでいるのです。

 本来は、開発プロジェクトに運用部門のメンバーが加わって、基盤に関わる性能や可用性、さらに運用性などについて意見を出すべきですが、これが一部の大規模プロジェクトにとどまっています。一方、リリース後は、運用部門がシステムを囲い込んで、開発部門に触れさせないようにしてしまう。開発部門に渡されるのは、基本的に集計済みの一部のログデータだけです。それ以外のデータを見たいときは、運用部門に依頼しなければなりません。

保守開発をしていく上で、運用中のログデータを分析する必要がありますよね。運用部門にデータの開示を依頼するのは難しいのですか?

Aさん:正式な依頼ルートがなくて、人と人のガチンコの交渉になります。頼むのがうまいエンジニアもいますが、圧倒的に少数派ですね。私にとっては、多くのエンジニアと同じくハードルが高いです(笑)。

 運用部門はシステムを安定運用することで忙しく、開発部門の依頼に応える暇はありません。そのため、開発部門のエンジニアは「お忙しいところ大変に申し訳ないのですが、もし可能であればデータを出してくださらないでしょうか…」という平伏した依頼の仕方になります。「ちょっと今は手が回らないですね」と嫌な顔をされたら、あきらめるより仕方がない。「そこを何とか頼みますよ」なんて言って粘れる雰囲気ではありません。