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 前回に続き、ITproの連載『ひとつ上のヒューマンマネジメント』の著者である芦屋広太氏と、『ダメな“システム屋”にだまされるな!』など“システム屋”シリーズの著者である佐藤治夫氏に、人材育成について語ってもらった。この回では、佐藤氏が考える「挑戦と失敗」論に焦点を当てる。IT業界には失敗を許容する雰囲気が乏しいのではないかというのが佐藤氏の主張。特に情報システム業界で責任ある立場の方に読んでいただきたい内容である。

(聞き手・構成は清嶋 直樹=PC Online


前回の議論で、芦屋さんが挙げている「11のネガティブ特性」を持つ人は若い世代に比較的多いのではないかということで、2人の意見が一致しました。

佐藤:少子高齢化や教育の変化などの影響で、社会人になってから上司に怒鳴られるより前に、人生で1回も怒鳴られたことがない、という事象の発生確率が上がっていると考えています。本当の意味で叱られたことがなく、明らかな失敗を認めさせられたこともないまま、社会人になってしまうのです。

 これはもちろん若い人が悪いわけではありません。日本社会全体の問題でしょう。子供が失敗しても叱られないか、あるいは、そもそも「失敗が存在しない」という雰囲気の中で過ごす時間が長くなっていると思います。

サッカーでは、失敗しなければ伸びない

 身近なところでは、私は少年少女サッカークラブのコーチを務めています。サッカーは足を使うスポーツです。手を使うスポーツとは違い、思い描いたプレーを確実に実行できるわけではありません。失敗だらけです。

 失敗したら叱られるかもしれないけれど、一方で、失敗して当然の世界です。失敗を繰り返すからこそ、よりうまくプレーしようとして、伸びていくわけです。(関連記事:サッカー選手と“システム屋”の共通点

 ところが、「ここでボールを止めようと思ったのにうまくいかない」→「手を使えたらうまく止められるのに、何で足しか使えないのか」→「だからサッカーがつまらない」となってしまう子供たちがいます。こういう理由でサッカーから離れてしまう子供の比率が、年々高まっている気がしています。

 私は「惜しかったね。いつもうまくいくはずはないよ。たまにうまくいくといいね」などと褒めながら、明るくやりたいと思うのです。でも、一部の子供たちは「失敗ばかりで、なかなか満点にならないからつまらない」となってしまいます。