◆今回の注目NEWS◆
◎首相官邸が日本語版Facebookページ開設、安倍内閣の主力情報発信手段として活用
(ITpro、1月11日)
◆このNEWSのツボ◆ 首相官邸がFacebookページを開設した。つい先日は、猪瀬新東京都知事が、都庁内の全部局にツイッターのアカウント取得を指示したことが報じられ、橋下大阪府知事の積極的なツイッターでの発言は、前回のこのコラムでも取り上げたばかりである。野田前首相もブログでの発信をしていたようだ。また、官邸のホームページを見てみると、官邸がさまざまな種類のソーシャルメディアを利用しているのに少し驚く。
好奇心先行で、これらのソーシャルメディアのフォロワーなどを見てみると、以下のようになっている(数字はすべて日本語版ページで2013年1月時点)。
官邸 安倍首相Facebook :いいね =14万
:話題にしている =9万2000
首相官邸ツイッター :フォロワー =12万6000
首相官邸mixi :フォロワー =1200
安倍首相ツイッター(個人):フォロワー =5万8000
猪瀬知事ツイッター :フォロワー =30万
橋下知事ツイッター :フォロワー =95万
Facebook(仮公開) :いいね =9500
:話題にしている =320
古くからソーシャルメディアを利用し、何かと話題を振りまくことが多く、歯に衣(きぬ)を着せない橋下知事のツイッターのフォロワー数が群を抜いているようだ。ただ、それよりも若干気になったのは、安倍首相のFacebook以外の官邸のソーシャルメディアのページである。なぜかツイッターのフォロワーはそこそこの数が登録されているようだが、それにしても味気ない発言が並んでいるし、実際人気もないようで反応も少ない。
安倍首相も、個人のFacebookは購読者数が激増し、現在は人気ナンバーワンとのことである(参考情報)。
やはりソーシャルメディアというメディアの革新性が、リアルタイムに利用者の率直な「声」が発信され、かつ、発信者とダイレクトなやり取りが可能であるという「双方向性」にあることを考えれば、「首相官邸」や「都庁」が、「公式」なツールとしてソーシャルメディアを利用するのが、どこまで有効なのかという気がしないでもない。
しかも、お役所というところ、一度始めたことは、そう簡単には止められない。ソーシャルメディアの良いところは参入コストが低いことだから、大した税金の無駄遣いにはなっていないのかもしれないが、他方で新しくて話題になっているからということで、そのメディアの本当の意味での活用方法とは遠い形で新しいものに次々と飛びついていくのも、いかがなものか。
「一つ始めるなら、一つ止める」くらいのルールで始めた方が、個々の発信の内容が吟味され、もう少し良いものになっていくのではないだろうか。
SGシステム 代表取締役社長、
スタンフォード日本センター理事

通商産業省(現 経済産業省)に勤務後、コンサルティング会社ヤス・クリエイトを興す。フューチャーアーキテクト社長などを経て、現在はSGシステム代表取締役社長、スタンフォード日本センター理事など、政策支援から経営やIT戦略のコンサルティングまで幅広い領域で活動する。