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 第1回では、ユーザー企業の目線でのマーケティング上の課題認識を踏まえつつ、行動予測の優位性や活用事例、システム化のニーズに触れた。それを踏まえて第2回では、「どのようなデータを準備しなければいけないのか」「どのようにデータを活用するのか」「重要なシステム要件は何か」といった、行動予測モデルを活用したCRM(顧客関係管理)システムの具体的な姿について解説する。

行動予測とビッグデータ活用

 ビッグデータに基づいて考案・検証された行動予測モデルがCRMにもたらす大きな進歩は、プロモーション施策の成功確率を推定したりシミュレーションしたりできることだ。すなわち、施策の実行前に、収益性や実行リスクを検証できる。

 従来のデータマイニングも、大量のデータの中から過去の事象の発生理由や要因を発見(=目的変数に対して、大量の変数の相関性を調査)することで、業務改善のPDCA(計画・実行・検証・見直し)を定量的に計画・検証しながら回す狙いがあったが、Webアクセスログのような顧客の購買前の行動データや施策と連携したシステム設計をすることで、さらに的確に回せるようになる(図1)。

図1●行動予測による精度の高いPDCAサイクルの実現
図1●行動予測による精度の高いPDCAサイクルの実現
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ビッグデータがCRMにもたらすメリット

 ここで、ビッグデータそのものの特徴が、CRMと行動予測にどのような進歩をもたらしつつあるのかについても整理しておきたい。ビッグデータの特徴は頭文字がVで始まる3つのキーワード 「ボリューム(Volume)」「多様性(Variety)」「速さ・頻度(Velocity)」にあるとされる。それらがマーケティングにもたらす優位点は下記だと考えられる(図2)。

ボリューム(Volume)・・・ごく小さな変化の予兆を発見しやすくなり、その予測された結果に対する信頼性(堅牢性)が高まる

多様性(Variety)・・・従来の方法では見つけられなかった新たなインサイト(洞察)を発見することや、複数の原因が複雑に絡み合った問題を切り分けて解決することが容易となる

速さ・頻度(Velocity)・・・経済状況の変化や、顧客の興味/嗜好の移り変わりに、よりリアルタイムで対応できるようになる

図2●相互に補完しあう3つのV
図2●相互に補完しあう3つのV
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