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 日系企業の委託を受けてカンボジアで優秀なIT人材を確保し、委託元のニーズに応じて専属チームを組ませ、現地や日本でアプリ開発をこなす─。

 こうした、日系企業とカンボジアのIT人材との橋渡しを担うのがJCITだ(写真1)。日本でアプリ開発などを手掛けるヘッドウォータースと、カンボジアと日本の提携ビジネスを推進するJCホールディングスとの共同出資でカンボジアに設立した企業である。2012年9月のサービス開始以来、既に8社から受注した。

写真6●カンボジアのIT企業JCITにおける開発現場の様子
写真1●カンボジアのIT企業JCITにおける開発現場の様子
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 同サービスの直接の狙いは、システム開発の受託を通じてカンボジアのIT人材を日本企業の競争力強化につなげることだ。だがそれ以外にも、委託元にIT人材を紹介できるというメリットがある。

 例えば日本でEC事業などを営むライズアップは、カンボジアのIT人材を5人採用しObjective-Cを使ったiPhoneアプリを開発している。インターネット広告を手掛けるネットフロンティアも5人を採用、Webデザイナーとして育成中だ。

 JCホールディングスの高虎男CEOは「プノンペン王立大学の情報通信技術学科などと親密な関係を構築している。優秀なIT人材はまだまだ豊富に確保できる」と説明する。

ウォン借款で光回線を敷設

 カンボジアはラオスと並び、IT人材の人件費がミャンマーと同程度の低水準にある。一方で「ICT関連の大学・専門学校は国内に30弱あり、2000~2500人の新卒IT人材を毎年輩出する」とカンボジア政府のICT推進機関「NiDA(ナショナル・ICT・デベロップメント・オーソリティー)」の技術支援プロジェクトに関わった経験を持つ財団法人、海外通信・放送コンサルティング協力(JTEC)の布施誠通信技術・システム部長は話す。

 ところがラオスと同じく、国内の受け皿は小さい。2010年時点で、卒業生のうちIT関係の職に就けるのは約6割だ。

 とはいえ、カンボジアではモバイル端末の普及率が人口比で100%を超えるなど、国民にとってICTが身近な存在になりつつある。需要の増大を受け、IT人材も間違いなく充実してくるだろう。

 こうした状況を敏感に察知し、ITの面で積極的な支援を進めるのが韓国だ。カンボジア政府は住民台帳や不動産登録といったデータベースの構築や光ファイバー敷設を、ウォン借款で始めている。「現在は韓国国際協力団(KOICA)がNiDAを支援し、政治と教育、経済の3領域でICT導入を推進するICTマスタープランの立案を進めている」と、JPCERTコーディネーションセンターの木村未咲情報セキュリティアナリストは説明する。

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 日本企業がオフショア開発の発注を第三勢力の国々に集中させるのは現実的ではないだろう。といって、「現時点では時期尚早」と判断していると、欧米や韓国の企業に優秀な人材を囲い込まれてしまう恐れがある。

 中長期的な人材育成は日系企業の得意とするところだ。チャイナリスクや、中国・インドなどでの人件費高騰といった課題に備えるためにも、第三勢力の開拓について真剣に考える時期を迎えている。