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 2013年3月期決算や今後の動きをどう分析しているか。大和証券 企業調査部副部長の上野真シニアアナリストに聞いた。「ITサービスは今後も好調に推移すると思うが、それに踊らされることなく、経営者は今から3年後や5年後に向けて準備しておく必要がある。明確なビジョンを持って計画的に実行していく企業は、景気のサイクルに関係なく強い」と語る。


今回の決算をどうみるか。

写真●大和証券 企業調査部シニアアナリストの上野真氏
写真●大和証券 企業調査部シニアアナリストの上野真氏

 2012年は受託開発の分野が回復していた。13年3月期の決算結果にも、それが表れている。数年にわたる開発プロジェクトは多いし、景気のサイクルにも乗っているので、この傾向はさらに続くだろう。14年3月期の業績予想でも受託開発のビジネスは期待できそうだ。この下期は上ぶれするかもしれない。

どんな業種に期待できそうか。

 ユーザー企業の業種では、「少額投資非課税制度(日本版ISA)」が14年から導入される証券業に、「IT特需」が出てくるだろう。このほかメガバンク、自動車といった業種、さらに中堅・中小企業の市場も見込みがある。先般、国会で決まった「マイナンバー」関連も今後は期待できそうだ。

 13年3月期の結果をみると、やはりハードの販売はよくなかった。クラウド関連のビジネスが好調というが、サービスの分野は伸びていても、インフラのハードは低迷している。通信関連の企業のなかには、機器の販売だけではなく、サービス分野へシフトしようと苦心しているケースも少なくない。ITサービス業界にとっても、今は新たな業態への転換期といえる。

経営者はどうすべきか。

 14年3月期は好調に推移しそうだが、心配なのは15年3月期の業績だ。景気のサイクルが終わり、これまでの開発プロジェクトも一巡する。将来に今から備えるためにも、経営者は新しい技術のトレンドを認識し、手を打っておく必要がある。

 優秀な経営者は景気サイクルや為替などを含め、すでに3年後や5年後の技術の動きをにらんでいるし、しっかりと考えている。ビジョンを持ち、分析力や行動力を伴った経営者がいる企業は、景気とは関係なく、規模の大小を問わず強い。

各社ともクラウド事業を強化している。

 クラウドも、従来と同じようなデータセンター事業にとどまっているケースが少なくない。だが、クラウドとクラウドがつながるようになるなど、いわば「本当のクラウド時代」が来ている。こうした状況に本気で取り組もうとしている企業は今後も期待できる。

 トレンドをつかむには、米シリコンバレーの動きをウオッチするだけでもいい。どんなベンチャーが注目されているか、どんな分野が買収や合併の対象になっているのか、などでも技術の流れはわかるはずだ。

 5年後はまだビジョンでもいいが、3年後となると実際の事業展開を見据えて、人材育成を計画したり顧客に提案したりしないと、もう間に合わない。今後は、こうした経営者の姿勢が企業の業績結果に、より明確に反映される時代になるだろう。