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 コンシューマ市場においては、Appleに象徴されるように、ユーザーの体験(UX:User eXperience)を前提に、複雑な機能をシンプルな画面(UI:User Interface)で実装することは、売上に大きく貢献することが実証されています。この現象をコンシューマ市場だけの話と終わらせてしまうことはできません。状況は異なり、程度の差はあれど、利用するのは人であり、コンシューマ市場であれ、エンタープライズであれ、利用しやすい製品が売上に大きく貢献する可能性は高いと思われます。コンシューマ市場で使いやすいUIに慣れた人の感覚は、エンタープライズアプリケーションでも使いやすいUIを求め始めています。そのため、エンタープライズでも、自社のターゲットに合わせたUX/UIデザインを行うことが、今後、必須となってくるでしょう。単なる他社の真似ではない、自社の顧客にあったUX/UIデザインが、エンタープライズアプリケーション開発の鍵となり始めています。

 本連載では、エンタープライズアプリケーションにおける UX/UIデザインの重要性を、筆者の具体的な事例を交えながら紹介していきたいと思います。

 なぜ、エンタープライズアプリケーションにおいて UX/UIデザインが重要なのでしょうか。私は、UXデザインとは、「顧客のニーズや気持ちを先読みして、事前に準備し続けること。」UIデザインとは、「事前に準備したことを、アプリケーションの画面に落とし込むこと。」と考えています。「顧客の気持ちを事前に想定して準備し続けること」は、企業にとって重要であり、UXデザインこそがまさにそれにあたると思います。

「アプリケーション開発における顧客本位」がUXデザイン

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 「顧客の気持ちを事前に想定して準備をし続けること」の重要性について、営業活動の場合を考えてみましょう。営業活動の場合、顧客の行動や気持ちに耳を傾けず、自分本位の提案をしていれば、受注はおぼつきません。

 同じことがアプリケーション開発においても言えます。「ユーザーのニーズをヒアリングし」、「ユーザーの気持ちを想定し続け」アプリケーションを開発することが重要です。この「ユーザーのニーズをヒアリングし」、「ユーザーの気持ちを想定し続ける」ことが、UXデザインの始まりです。UXデザインという観点で見れば、アプリケーション開発だけに留まらず、その前後を取り巻く業務全てを「ユーザーの気持ちを想定し続け」事前に準備し続けることになります。

 エンタープライズアプリケーションでは、コンシューマー向けアプリケーションと比較すると、UX/UIデザインは比較的難しい傾向にあります。なぜなら、エンタープライズアプリは、業務で利用するアプリのためその仕事を直接体験する機会が少なく、「ユーザーの気持ち」になるのが難しいためです。コンシューマーアプリであれば、自分が1人のユーザーとしての感覚が、そのままユーザーの感覚になり得る可能性が高くなります。しかし、エンタープライズアプリは、開発者が、ユーザーの業務を「早期に」熟知することが困難であることが多いのです。常にユーザーの声を直接聞き続け、その声を製品に直接反映させるUX/UIデザインを重要と認識し、意識的にUX/UIデザインを取り入れている必要があります。