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 スマホファーストの発想でビジネスを考えることで、新しい顧客層を開拓したのが東京海上日動火災保険だ。同社は1日単位で加入できる新しいタイプの自動車保険「ちょいのり保険」を2012年1月に投入。保険への申し込みをスマホとケータイ経由だけに限定することで、自動車を運転する直前に加入できるという、従来の常識を覆す保険商品を開発した。

 ちょいのり保険は、自動車を保有しない若年層が友人や親の自動車を運転することを想定した商品である。費用も1日500円からと手軽だ。しかし、わずか500円とはいえあくまで保険商品。本人確認や属性の情報は必須だ。いざ自動車を運転しようとする際、煩雑な本人確認手続きが必要だと利用してもらえない。

 この課題をクリアーしたのが、スマホファーストの発想だ。スマホ固有の端末IDを本人確認に利用できるようにした。ちょいのり保険では、保険加入する前にスマホによる事前登録(無料)プロセスを加えた。その際、スマホの端末IDなどを保険管理システムに登録する。顧客が保険に加入する際は、同じスマホから加入申し込みをする。その際、端末IDなどが一致すれば、本人確認ができたとみなす(図1)。

図1●東京海上日動火災保険はスマホとケータイからだけ加入できる保険を開発
図1●東京海上日動火災保険はスマホとケータイからだけ加入できる保険を開発
事前登録しておけば、友人などの自動車を運転する直前にスマホなどから保険に加入すればよい。1日単位で加入できる
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 こうして実現した利便性が受け、利用者の86%を10代から20代が占める。同社にとって、これまで取引の少なかった顧客層だ。若者が自動車を保有した際には、同社の主力商品である年間契約型の自動車保険へ誘導できるよう割引制度も設けた。こうしたことは、スマホファーストに舵を切らなければ、実現できなかった。