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 前回は、ビッグデータ時代のCMOの役割に言及した。ではビッグデータ時代のCMOには、どのような資質が求められるのだろうか。全てを兼ね備えるスーパーマンはいないかもしれないが、まずは理想論から入りたい(図1)。

図1●ビッグデータ時代に求められるCMOの資質
図1●ビッグデータ時代に求められるCMOの資質
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CMOの資質1:王道の「マーケティングストラテジスト」

 第一に、王道としての「マーケティングストラテジスト」としての素養である。前回も言及したが、今も昔も変わらずに、大きなPDS(Plan、Do、See)のPを担う、王道のマーケティング戦略を立案する能力はCMOに必須である。

 大きなPDSサイクルのPを検討するうえで、体系的で全体感を持ったマーケティング戦略の立案が必要となる。私は1つの考え方として「Headshot Marketing(ヘッドショット・マーケティング)」というメソッドをデザインしている(図2)。このアプローチは顧客の「腹に落ちる」提供価値(通称UVP: Understandable Value Proposition)を軸にマーケティングの戦略を考えていくやり方だ。

図2●Headshot Marketing(HSM)のアプローチ
図2●Headshot Marketing(HSM)のアプローチ
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 最終的に1枚の紙にまとめると、前回紹介した「STP、3P(+UVP)、P」にまとめられるが、アプローチとしては、顧客ターゲティングとして誰を狙いたいかではなく、自社が既に保有している顧客の「腹に落ちる」提供価値であるUVPを軸に考え、「本来使うべき顧客は誰なのか」というところから議論をスタートさせる。

 教科書通りにセグメンテーションやターゲティングを行ったとしても、どの業界や企業が使ってもそのまま使えるような、何となくの作文にしかならないケースが多い。しかし、世の大半の企業は既に商品やサービスを保有しており、今さら自由に戦う市場を決められるわけではない。むしろ、市場はある程度決まっている。

 だとすれば、どの顧客を狙いたいかというマーケットから理想を語るのではなく、自社の商品やサービスのUVPをきちんと定義した際に、本来この商品やサービスを「使うべき顧客は誰なのか」という問いから入る方が合理的である。

 「誰を狙いたいか」ではなく、「使うべき顧客は誰なのか」である。

 そのため、まずは自社商品やサービス(ここではProductだけでなく、PriceやPlaceも含めて)のUVPが定まっている必要がある。UVPが定まれば、「本来使ってくれるべき顧客」というものが見えてきて、その「マーケットボリューム」も見えてきて、自社が現在獲得できている規模との差分も見えてくる。