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 前回はビッグデータ時代に求められるCMOの役割から、4つの資質を紹介した。CMOがこれらの素養を全て持ち合わせていなければ、そのスキルを代替する手段が必要である。では、どうやって代わりを見つけていけばよいだろうか。

 本題に入る前、なぜ日本にはCMOと呼ばれる役割をこなしている人が極端に少ないのかを考えたい。

 かつて、ある戦略コンサルティングファームの統括をしていた人から聞いた話がある。「営業」という日本ではおなじみの言葉は、セールスとマーケティングを含んだ言葉であり、日本独自の役割であるという。

 日本は高度成長時代、つまり作れば作っただけ物が売れた時代に、その市場の伸びに対応するため、効率化の観点からセールスにマーケティングの機能まで持たせた。当時はそれが最善の策だった。

 しかし、市場が伸び続ける時代は終わり、今は限られた市場での争いになっている。それでも今まで通りに、営業という言葉にセールスとマーケティングを含めて活動していてよいのだろうか。

 市場の成長が続いている、言わば、需要が供給を大幅に上回っている場合は「ハンティング」を効率的に行って最大化させることが重要である。よって、セールスにマーケティング機能を持たせるのは有効な手立てだった。

 また、セールス・フォースは販売という、顧客と企業をつなぐ架け橋になり、重要な役割を担っている。現に米国では全労働人口の12%がフルタイムでの販売職であり、セールス・フォースやセールス・フォース関連費に1兆ドル以上のコストが発生しているくらいだ。

 このセールス・フォースにマーケティング機能を持たせた「営業」という特異な役割は、権限として最高の地位を誇ってきたことは明白である。表面的に見れば、顧客に商品を届けてマネタイズするプロセスを有しているからこそ、マーケティング機能を牛耳ってきたと言えるかもしれない。

 そういった歴史や背景もあり、Chief Sales Officerに相当する「営業本部長」に日本では絶大な権力が集まる一方で、マーケティングは何となく広告宣伝だけに携わる役割と見られ、それ故に日本にCMOが生まれてこなかった可能性がある。

 ところが供給が需要を上回る今の世界で必要とされるのはハンティングではなく、「ガーデニング」である。顧客に商品を届けてマネタイズする仕組みを、顧客視点で作り上げていく(耕していく)必要がある。