中国の人件費高騰と政治的なリスクを考慮し、期待が急速に膨らむミャンマー。現地ガイドによると、日本政府や経団連、一般企業からの視察がここ1年で増えているそうだ。特にITサービス会社にとって関心が高いのは、ミャンマーでのオフショア開発だろう、
日本貿易振興機構(ジェトロ)などの調査によると、ベトナムの人件費は中国の約4割で、バングラデシュやミャンマーは中国の約2割という。このため今後は、中国から東南アジアへのシフトする日本企業は多いとみられている。
ただしミャンマーの魅力は、単純に人件費の安さだけではなさそうだ。
現地で既に開発センターを運営する企業の担当者によると、ミャンマーに拠点を設けた一番の理由は、やはり人件費などのコストにあるが、ミャンマー人の性格が総じて穏やかで親日感情が高く、日本語の習得も早いといった点も見逃せなかったという。ビルマ語と日本語は、語順が同じで文法的にも似ていることから、基本的に単語を習得すればよいといわれる。
IT人材の教育では、ミャンマー全体に約25のコンピュータ関連大学があり、毎年4000人の卒業生を輩出している。代表的なものには、ヤンゴンコンピュータ大学(UCSY:University of Computer Studies、Yangon)がある。ただし、現地のIT企業があまり育っていないためか、就職率はあまり高くなく、日本企業にとっては優秀な人材を採用しやすい状況にある。月給は日本円換算で1万~2万円程度といわれており、定着率もいいようだ。
電力供給や通信インフラの問題には多くの日系企業が頭を悩ませており、オフショア開発の拠点として市街地のオフィスビルを使ったり、自家発電施設を備えた自前の開発センターを建設したりする場合がある。
例えば、日系企業が多く入居するヤンゴンの「サクラタワー」には自家発電施設があり、ここをオフショア開発の拠点にしているケースもあるという(写真1)。
上昇しているのはむしろ、駐在員の住居やオフィスのコストだろう。急成長しているためか、多くの価格がここ数年間で急激に値上がりしているそうだ(図1)。