PR
写真●ベネフィット・ワンの白石徳生社長(撮影:村田 和聡)
写真●ベネフィット・ワンの白石徳生社長
(撮影:村田 和聡)
[画像のクリックで拡大表示]

 「商品はよいものが多く売れている。でもサービスはよいから売れるとは限らず、コマーシャルなどで有名になったものが売れている。それはおかしい」。

 こう指摘するのが、旅行やスポーツ、育児介護など様々なサービスを提供する会員制の総合福利厚生サイト「ベネフィット・ステーション」を運営する、ベネフィット・ワン社長の白石徳生氏だ。

 「独創ベンチャーに学ぶ」というテーマの特集で取材したとき、白石氏に会い、この発言が強く印象に残った。「福利厚生という枠にとらわれず、サービス流通の仕組みを構築する」という大きな志を感じたからだ。

 前向きな語り口と話の内容にはぐいぐい引き込まれた。「この人だからこそ、サービス流通基盤といった新しいものが生み出せる」と実感した。

 1995年、人材派遣会社のパソナで営業マンをしていた白石氏は「利用者から会費をもらう一方、スケールメリットを生かしてサービスを低コストで届ける」といった、ベネフィット・ステーションを提案した。

 事業化が認められ起業し、ネットを使ってサービス流通の仕組みに乗り出した。企業の福利厚生事業をアウトソーシングする流れもあって、利用者数は600万人、サイトで扱うサービスは23万種類に広がっている。

 白石氏は今、法人が中心だった提供相手を個人にも広げようとしている。2013年3月、ヤフーと提携し、Yahoo!JAPANの会員向けた有料サービスを開始。さらに4月には、健康診断や人間ドックを割引料金で予約できる一般向けサイトを開設した。

 白石社長の夢は、サービス流通の仕組みを通して、サービスを“格付け”すること。すでにレストランなど、ジャンルを限定した格付けサイトはある。白石社長は、会員から利用したサービスに対する評価を収集して、自社で扱う全ジャンルでのサービス格付けを目指す。

 そうなれば「会員からの客観的な評価を基に、本当によいサービスを選ぶことができるようになる」。雄大な構想の実現に期待したい。


西村崇
日経情報ストラテジー
 日経コンピュータ、日経ITプロフェッショナル、日経SYSTEMS、日経ソリューションビジネスの記者を務めた。現在はITのビジネス活用に関心を持つ。