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 前回は会社の成長とともに資産が負債化する構図を説明しました。今回紹介するのは「チームワーク」です。ある程度の成長まではプラスに働くチームワークですが、一定の時期を過ぎるとマイナスに働きはじめてしまい、チーム以外の全体が見えなくなる現象が起こります。これが「会社の老化」にも貢献してしまうということです。

チームワークの功罪

 人間の素晴らしいところはチームを組んで仕事をし、自ら不足しているところを他者に補ってもらいながら、「一致団結」して一つの目標に取り組み、単なる個の集合体の何倍もの成果を達成できることです。チームワークの効用はいくら語っても語りつくすことはないでしょう。

 ところがここにも「資産の負債化」の芽が隠れています。

 チームの団結力が強ければ強いほど、あるいはその性格や「カルチャー」が個性的であればあるほど、その集団は排他的になっていきます。いわゆる「縄張り意識」というものです。これは各チームが独立して何の利害関係の衝突もないうちは問題にならないのですが、当然のことながらそのチームの活動が広範になればなるほど、別の集団との利害関係の衝突が起きる可能性は高くなっていきます。

「全体最適」とは「部分非最適」のこと

 会社ではよく「全体最適」という言葉を使います。例えば「経営資源の全体最適化」とか「情報システムの全体最適化」といった形で用いられます。ところがこの言葉ほど「都合のいいように」用いられる言葉もありません。

 こういう抽象度の高い言葉は各人にとって都合の良い意味で解釈されます。そのため、キャッチフレーズとしては「文句のつけようがない」ものですが、実は全体最適とはイコール「部分非最適」、つまり誰か被害者が出るものであることにはこの時点では気づいていません(あるいは被害者は自分以外の誰かであると全員が思っています)。実際にその全体最適の結果として誰か(どのチームか)が割を食うということが分かった瞬間に、そのチームは「一致団結」して大反対を唱え始めることになります。

 したがって、一度出来上がってしまった部分最適を全体最適に戻すことは容易なことではないのです。ここにも会社という組織が内在する不可逆性が潜んでおり、これが「老化」へとつながっていきます。