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写真●MetaMoji社長の浮川 和宣氏
写真●MetaMoji社長の浮川 和宣氏
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 「誰でも使えるタブレット。それを政府が配ればいいんですよ。20歳になったときに配って、選挙のときに使ってください、と。そうすると、それを目がけて、ありとあらゆるサービスが集中するようになる。世の中、全く変わりますよね」

 そう語るMetaMoji社長の浮川和宣氏が強調するのは、「誰でも」という点だ。

 もともと、浮川氏はジャストシステムで日本語入力ソフトである「ATOK」や、ワープロソフト「一太郎」を開発し、キーボードによる日本語入力を長年研究し続けてきた。

 しかし、キーボードが苦手、という人は少なからずいる。コンピュータを使えない人にとって、キーボード入力が大きな壁となっている。一方、文字であれば「誰でも」書ける。

 「市役所や銀行に行って、『漢字書けますか?』と聞かれることはないでしょう。つまり、文字はコモンセンス。全員書けるんです。漢字を書きたくない人はいるかもしれないけれど、平仮名でもいいんだよ、と言えば、小学校1年生でもみんな書けますよね」

 そう考えた同氏がMetaMojiで開発したのが手書き入力用の日本語変換ソフト「mazec」だ。タブレットやスマートフォン上で書いた手書き文字を日本語として認識し、適切に変換する。 手書き入力に注目したのは、iPadを手に取って、指で触って操作することの良さを実感したからだという。

 mazecならば、仮名混じりの漢字でも変換できる。例えば、「かいぎ」「会ぎ」などと書いても、「会議」という変換候補が示される。つまり、文字さえ書ければ誰でも使える。浮川氏は「日本人にとって当たり前のところからスタートできる、これこそ、プラットフォーム」と語る。

私は「人」に興味がある

 コンピュータが誰でも使える。それが当たり前になったら、その先には一体何があるのか。浮川氏が考えるのは「人間の行動を左右する情報」の提供だ。

 「私は人に興味がある。人間が何かの行動をしていく際に、その行動を左右する情報をもっと提供できないか。ほかの人たちがどんな方法を選択して、どんな結果を得られたのか、といった情報です。その場で判断しなければならないときに、もっと賢く、もっとそのときの気持ちに合った選択肢を導く情報を提供したい」

 浮川氏の理想は、MetaMojiで開発したアプリ「Note Anytime」の未来の姿でもある。Note Anytimeはタブレットやスマートフォン上で動作する手書きノートアプリだ。スタイラスペンや指で文字や絵を書いて保存。画像も貼り付けられる。

 同社が提供するネットサービス「デジタルキャビネット」上に保存しておけば、別のデバイスからでもアクセス可能だ。Android、iOS、Windows 8に対応しているため、OSの異なるデバイスからでも共通の文書を編集できる。

 現在のNote Anytimeは、思いついたことを書き留めるノートアプリだ。便利な機能を持ってはいるが、浮川氏はまだこれからだという。

 「今は単なるペンと紙よりも、ちょっと賢くなった程度。もっと賢くしたい。誰かが絵を描き始めたら、『あなたの描きたい絵は、こういうものですか』と提示して、その中から選べばいい、とか。それが超賢い紙。私たちのテーマはもっと『賢い紙』を作ろう、ということです」

 人間を導くことのできる賢い紙。タブレットやスマートフォンの未来像は、そうしたものになるのかもしれない。


露木久修
日経パソコン
 日経WinPC、日経パソコンで記者として活動した後、日経パソコン副編集長を務める。PC周辺の技術が今後どう変わっていくかに関心を持つ。