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 2012年秋のiPhone 5で始まったネットワーク関連の広告宣伝競争が加熱している。各社各様の人口カバー率や、同じく独自指標となる接続率(写真1)を引き合いに出し、ネットワークの「つながりやすさ」のアピールに躍起だ。

写真1●「パケット接続率No.1」をうたうソフトバンクモバイルに他社から反発も<br>同社がうたう「接続率No.1」とは、同社グループ会社による独自指標による調査結果である。
写真1●「パケット接続率No.1」をうたうソフトバンクモバイルに他社から反発も
同社がうたう「接続率No.1」とは、同社グループ会社による独自指標による調査結果である。
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写真2●消費者庁から措置命令を受けたKDDI<br>同社のカタログなどにおいて、実際には、現時点でAndroid端末だけが利用できる800MHz帯LTEサービスの最大速度や実人口カバー率を指しているにもかかわらず、2GHz帯のLTEサービスしか利用できないiPhone 5を含めた形で、「受信最大75Mbpsの超高速ネットワークを実人口カバー率96%に急速拡大」などとしていた。
写真2●消費者庁から措置命令を受けたKDDI
同社のカタログなどにおいて、実際には、現時点でAndroid端末だけが利用できる800MHz帯LTEサービスの最大速度や実人口カバー率を指しているにもかかわらず、2GHz帯のLTEサービスしか利用できないiPhone 5を含めた形で、「受信最大75Mbpsの超高速ネットワークを実人口カバー率96%に急速拡大」などとしていた。
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 これは、特集のここまでの記事で述べてきた通り、端末やサービスで差別化できる余地が少なくなり、ネットワークが最大の差別化ポイントになってきた現れと言える。しかし時間や場所、状況によって刻々と変化するネットワークを厳密に比較することは難しい。その結果、ユーザーにとって分かりづらい表現が横行する事態となっている。

 そんな過熱気味の競争の中で、KDDIが一線を踏み外してしまった。同社のカタログやホームページにおいて、実際には、現時点でAndroid端末だけが利用できる800MHz帯LTEサービスの最大速度や実人口カバー率を指しているにもかかわらず、2GHz帯のLTEサービスしか利用できないiPhone 5を含めた形で、「受信最大75Mbpsの超高速ネットワークを実人口カバー率96%に急速拡大」などと宣伝していたからだ(写真2)。

 事態を重く見た消費者庁は2013年5月21日に措置命令という重い処分を下した(関連記事:LTE広告への措置命令受け、KDDIが責任者の報酬を一部返上)。

 他社からは「あれは確信犯だったのでは」という声も上がる。当時のKDDIの会見資料や幹部の発言を振り返ると、2013年3月末までにLTEの実人口カバー率96%としていた目標は、“800MHz帯局に限る”という小さなただし書きを確認できる。ただ同社は、iPhone/iPad専用となる2GHz帯LTEとカバー率に触れられることをあえて避けていた節がある。

 実際、KDDIの田中孝司社長は2013年4月末の決算会見で、「これからの端末は800MHz帯も2GHz帯の双方に対応するハイブリット端末になる。800MHz帯でエリアを広げ、2GHz帯は容量を確保するために使いたい。2GHz帯の実人口カバー率を公表しないのは、容量用途としている2GHz帯が比較軸になるのを恐れている」と打ち明けていた。

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