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 自民党の復活で、再び公共サービスの「民営化」の動きが具体化しつつある。空港の民営化のほか、首都高速道路の空中権の売却などの案も出てきた。

 筆者は、政府の関与は最小限にすべきと考えており、賛成だ。民営化ができない分野でも独立行政法人化を進めるべきだ。英国などでは政府業務の大部分をエージェンシー化している。空港管制や自衛隊の機材整備など海外では民営化やエージェンシー化されている領域でも日本では官が居座る。背景には公務員の雇用維持があるが、公務員だけを雇用全体の流動化の中で例外扱いする理由はない。見直すべきだろう。

過去の民営化の棚卸しの時期

 一方でわが国の過去の民営化はすべて正しかったのかというと疑問がある。時代を経て見直すべきものもあるだろう。あるいは逆に今は民間が担っているが、本当は政府が担うべき業務もあるかもしれない。分野別に考えてみよう。

●(1)空港
 空港の収支は、滑走路、売店などのターミナル、そして駐車場の合算から構成される。後者2つの利益で前者の赤字を埋めるのが世界標準のビジネスモデルである。ところがわが国の場合、おかしなことが起きている。第1は羽田空港である。もうけ頭のターミナルが100%民間資本の株式会社になっている。そのため滑走路部分への利益還元が十分になされていない可能性がある。もしかしたらターミナルをいったん公有化したうえで、滑走路、駐車場を含む羽田全体を丸ごとセットで一つの法人に束ねて再民営化するべきかもしれない。

 第2は駐車場である。全国の空港のうち18については、一般財団法人の空港環境整備協会という政府系の外郭団体が駐車場を管理している。環境対策にかなりの収益が回されているものの、駐車場ビジネスには特段のノウハウは必要ではないので駐車場の利権を国が吸い取る構造と見られても仕方がないだろう。これについても、個々の空港別に駐車場とターミナル、滑走路は一体経営し、収益を地元に還元すべきだろう。これは分権改革の視点からも問題となる事例だ。

●(2)港湾
 港湾も空港と似た構造のビジネスである。埋め立てや浚渫(しゅんせつ)が滑走路の整備・維持管理に相当するが、それだけではもうからない。そこにターミナル(埠頭)ができると利用料が稼げる。さらに周辺サービスとして港湾運送(荷役)や倉庫業などが成り立ち、全体として港湾ビジネスが出来上がる。

 さて日本の港湾はコストが高いとしばしば批判される。その一因は港湾運送、いわゆる荷役作業の高コストにあるようだ。背景には時代遅れとも評される緊密な労使協調と各社の寡占、独占構造があるといわれている。

 財界からはしばしばわが国の港湾を民営化せよという意見が出る。だが、これはどの部分を指すのか定かでない。埋め立て、浚渫だけでは無理だし、ターミナルも周辺サービスと一体で考えないと難しい。ところが港湾運送だけが先に民営化され、上場企業が成り立っている(というか昔から民が担っている)。

 そのため、今となっては官が担うインフラの部分だけを抜き出しても、海外のいわゆるポートオーソリティのような一元的かつダイナミックな経営ができない。もしかしたら、港湾も全体をいったん公営化したうえでフルセットでの再民営化を検討すべき分野かもしれない(個々の港ごとにシミュレーションしないと何とも言いきれないが)。