会社の「老化」の兆候を示すチェックリストに「14. 変わった人は迫害される文化である」という事象がありました。リスクを取って新しいことに挑戦していくイノベーターこそ、老化した組織を若返らせる可能性を持っていますが、残念ながら組織が肥大化し、年月を重ねていくたびにこうしたイノベーターは会社に居づらくなってきます。それは、どんな組織でも数が増えれば普通の人が増えてくるからです。
とがった石は丸くなる一方
川底の石は上流から下流に進むに従って最初はとがっていたものが徐々に丸くなっていきます。自然の摂理に従えば、これが逆向きになることはあり得ません。この流れは組織でも全く同様に当てはまります。
ここでのポイントは、「とがっている」という状態には様々な個性があっても、「丸くなった」という状態はすべて同じようになるということです。「とがった石」には様々な姿がありますが、「丸い石」というのはどれも(大きさは違えど)同じ形です。
同様に、従業員5人の会社には様々な個性の会社がありますが、それが100人、1000人、1万人と成長して会社が大きくなり、従業員数が増えていけば、個々の集団の個性はなくなっていきます。これには「組織化」という側面も拍車をかけ(「組織化」の功罪、「個性的人材を求める」ことの矛盾)、集団の個性はますますなくなっていきます。
結果として1万人以上の集団となれば、ほぼどのような集団も同じような集団になっていきます。この連載の初回で示した会社の「老化」の兆候を示すチェックリストも、ある程度以上の規模の会社は文字通り「判で押したように」ほとんどが当てはまるはずです。
まさにこれは大組織の宿命といえます。もちろん個々の経営者レベルが「とがっている」ことは十分にあり得ますが(特に創業経営者など)、それでも集団全体が「とがった」ままでいることはほとんどあり得ません。そうなると、経営者が「とがって」いればいるほど、社員とのギャップは広がっていくことになります。