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行動の謎、ITで科学的に分析

 「外科手術やインプラント(埋め込み)によって、透視や読心術、飛行などの身体能力強化が可能になる」。米ガートナーが唱える身体機能強化技術がIT業界などで関心を集めている。これを既に実現したのが、MITメディアラボ教授である著者らが開発した「ソシオメーター」。集積化センサーを備えた電子バッジや携帯電話を体に装着して、対話の相手との距離や発話の音量、会話中の動きなどのデータを計測。人がコミュニケーションの中で無意識に表出する「正直シグナル」を、定量的に分析することを可能にした。

 本著ではソシオメーターで収集したデータを使って、打診や協調、能動的傾聴などのコミュニケーションにおいて、どのようなシグナルが発生しているかを科学的に分析。上司と部下の給与交渉や採用面談、売り込みなどビジネスシーンでの駆け引きから、集団内での役割分担や意思決定まで様々なコミュニケーションのメカニズムを解明する。さらに社会的シグナリングを効果的に使うことで、未来を予測可能にし、「賢い社会」を生み出せると説く。

 このプロセスは極めて興味深いが、一方で「センサーなどのデジタル技術に加え、ビッグデータの技術が発達したことで、こうした分析が可能になった」という監訳者の指摘にも注目したい。本能的な人間の行動までビッグデータが明らかにすることにワクワクし、ビジネスにどう利用できるか考えさせられる。

正直シグナル


正直シグナル
アレックス(サンディ)・ペントランド 著
柴田 裕之 訳
安西 祐一郎 監訳
みすず書房発行
2730円(税込)