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 元ソニーのCIO(最高情報責任者)で、現在ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏は、システム部門が幸せになるための改革として四つのプロセスを実践してきた。この“階段”を登るため、システム部員自身が受け身ではなく、主体性を持って「どうやるか」を考えなければならない。


 前回、システム部門が改革を進めていくためのプロセスを、四つのステップ(戦略構築および実行フェーズ1~3)に分けて図解した。この“階段”を登っていくのは、決して簡単なことではない。 まずは、自分たちは会社に対して「大きな貢献をしているんだ」と自分自身で納得すること。そのうえで、システム部門の社内での位置付けを高めていくために、自らの役割を広げていかなければならない。

 システム部門に対する評価指標も、自分たちで作っていくぐらいでないといけない。常々疑問に思っているのだが、これまでシステム部門は、発生する費用を間接費として扱うことが一般的だったため、何の疑いもなく「間接部門」と考えられてきた。しかし、本当にそうなのだろうか。

 現在のシステム部門は業務の内容から見ると、直接部門である「生産部門」の一種と位置付けた方がふさわしいのではないだろうか。今やシステムなくして、ビジネスはあり得ない。ビジネスに欠かせないシステムやインフラを構築、運営し、その生産性や効率が問われているのだから、そう言ってもいいはずだ。

 であれば、間接部門のマネジメントや評価とは、一線を画さなければならないわけだが、一方で、工場などと同じ生産性の指標だけでシステム部門を測れるわけでもない。だからこそ、システム部門は自らの評価指標を自分たちで考え、経営に提示していくべきなのである。それがシステム部門が社内で正しく評価されるとともに、自ら幸せを実感するための一つの道だと、私は信じている。

 こうした考えを当事者であるシステム部員全員で共有し、受け身ではなく主体性を持ってシステム部門の改革に関わっていく。これが改革の戦略構築フェーズにおける基本方針であり、四つの階段を登るスタートになる。