インターネットを活用した選挙運動が解禁されてから初の国政選挙が2013年7月21日、終わった。「有権者と双方向でつながる選挙」「お金がかからない選挙」という可能性は開けたが、真価を発揮したとは言いがたい。
「Twitter」では、選挙や政党に関わる、1日当たりの投稿数が公示日後に全体で3割伸びた。ただ少なくとも7月17日時点では、何らかの“事件”を火種とした投稿が増加要因となるケースが目立つ。各党が争点として仕掛けた話題や、候補者に直接関わる投稿は伸び悩んだ。
ソーシャルメディア分析サービスを手がけるプラスアルファ・コンサルティングによると、例えば政党名を含む投稿の4割超を占めた自民党で最もヒットした話題は、TBSへの取材拒否騒動だった(図)。投稿数で2位だった民主党は公示後も投稿数がほぼ横ばいに終始した。日本維新の会関連の投稿は、自民党同様、突発的な出来事による変動が多かった。争点作りで目立ったのは共産党くらいで、「ブラック企業の規制」という同党の政策を含む投稿が、賛否を交えつつ投稿数を押し上げた。
ツイッター日本法人によると、全候補者約430人のうちアカウントを開設した人は295人(7月17日時点)。同社は、候補者の活用が不十分だった例として、投稿をグループ化するハッシュタグがほとんど使われなかった点を挙げる。米国では有権者から質疑を受け付ける時間を設けたり、タグを設定したりするなど、候補者が対話型のイベントを仕掛ける。こうした動きが日本ではほとんど見られなかった。
ヤフーが運営するサイト「Yahoo!みんなの政治」は内容を大幅に充実させ、前回の選挙までは公示日以降は更新を止めていたが、今回は選挙直前まで情報を更新した。だが、訪問者は衆院選を下回った。「候補者や政策の方が重要で、『ネット選挙』という話題だけで市民の関心は高まらない」(ヤフー)のが現実だった。
全国規模のネット選挙運動は、解散などがない限り、次は2年後の統一地方選挙になる。地方選では、ネットでの口コミ活動が、国政選挙よりも影響力を持つはずとみる関係者は多い。このとき改めて、ソーシャルメディアを駆使し、争点への関心を高め、対話を深める手腕が問われる。普及していないネット献金の活性化も含め、今回の選挙では多くの課題が露呈した。