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 最後に、商用ソフトを「サービス利用」するときの注意点を説明する。

 従量課金型のクラウドで仮想サーバーを利用した場合、オプションサービスとして利用するソフトウエアライセンスも従量課金になることが多い。つまり、稼働している仮想サーバー台数をこまめに増減させれば、ライセンス料を含めた総コストを削減できる。クラウドでは、仮想サーバーを増減させる操作は比較的容易である。

 しかし、それだけで「ライセンス料を含むコストの総額を最小化できている」と考えるのは早計だ。

 一例を挙げよう。AWSで仮想サーバー上にWindows Serverを稼働させていたとする。処理量に応じて、1日のうちに仮想サーバーの台数を増減させても、ライセンス料を含む利用コストを最小化できているとは限らない(図1左)。実はまだ利用コストを削減する余地があるのだ。

図1●課金方式に関する注意点
図1●課金方式に関する注意点
Amazon EC2でWindows Serverを動作させた仮想サーバーを利用する場合、通常の従量課金方式だけで利用すると割高になることがある
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課金方式組み合わせコストを4割減

 利用コスト削減のポイントは、複数の課金方式を組み合わせることである。EC2には、一定期間の利用を予約することで時間当たりの単価を下げる「リザーブドインスタンス」、確実に利用できる保証はないものの入札によって利用料金を任意に決められる「スポットインスタンス」という課金方式がある。こうした複数の課金方式を組み合わせることによって、単一の課金方式だけでは実現できなかった利用コストの削減が可能になる。

 例えば、必要最小限の仮想サーバー台数をリザーブドインスタンスで契約する。それ以上の台数が必要な部分を通常の従量課金とスポットインスタンスで補うという具合だ(図1右)。

 実際に、そうした組み合わせによって利用コストを削減したケースが出ている。「米国のあるネットサービス企業は、三つの課金方式を組み合わせることで利用コストを4割引き下げた」(アマゾン データ サービス ジャパン ソリューションアーキテクチャ本部 技術統括本部長 玉川 憲氏)という。

 こうした対策は、AWSに限った話ではない。ライセンスを含むサービス料金について「月額固定費」と「従量課金」の両方を用意しているクラウド事業者は多い。それらの課金方式を組み合わせれば、ライセンス料を含む総コストを削減できる可能性がある。