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海底ケーブルの芯線って何でできているの?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
KDDI研究所
光トランスポートネットワークグループ
グループリーダー 工学博士
釣谷 剛宏

 海底ケーブルの芯線には、1980年代後半から石英ガラスを素材とした光ファイバーが採用されています。ただし光ファイバーが採用される前は、銅を素材とした同軸ケーブルが一般的でした。今でもどこかの海底ケーブルで銅の同軸が使われている可能性はありますが、新規の敷設では銅の同軸が使われることはないでしょう。

 海底ケーブルが同軸から光ファイバーに代わったのは、大きく四つの理由があります。第1に、光ファイバーのほうが、同軸より信号損失率が低いからです。海底ケーブルでは、劣化した信号を増幅する回路(中継器)を等間隔に設置します。同軸では一般におおよそ数km(太平洋横断では35km程度)ごとに中継器を設置しますが、光ファイバーでは50k~100km間隔で済みます。これは、敷設コストの低減につながります。

 第2の理由は、光ファイバーのほうが広帯域であることです。同軸を使った海底ケーブルでは数十Mビット/秒が一般的でしたが、光ファイバーでは10Gビット/秒以上(波長多重を使えば1Tビット/秒)です。ビット単価で考えると、光ファイバーのほうが大幅に低くなります。

 第3に、光ファイバーのほうが、同軸より細く軽くできること。光ファイバーの場合、水深3000m以上で使われるたった2cm径のケーブルに最大で16本の芯線が入ります。一方、同軸では約5cm径のケーブルに一組の芯線しか入りません。これも、敷設コストの低減につながります。

 最後の理由は、光ファイバーの素材である石英ガラスのほうが、同軸の銅より希少性が低いためです。大量に資源を消費する海底ケーブルでは、光ファイバーのほうが「エコ」ということになります。ちなみに、銅を使った同軸ケーブルが主流だった頃、銅よりも希少性が低く、価格が安いアルミニウムを素材とした海底ケーブルの開発も行われていました。