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 これまでの連載ではマーケティングオートメーションについて、その概念やパーソナライゼーションへの応用などに触れてきた。では具体的にどう始めるか。ベンダー側からの提案の常套句は「スモールスタートから始めましょう」というものだ。

 ただしその「スモールスタート」が得てして抽象的で、具体性がないことも多い。私たちもよく使う言葉だけに反省しているのだが。

 そこで今回からは、マーケティングオートメーションへの取り組みをスモールスタートするとしたら、どのようなやり方が現実解なのかをテーマにしていきたい。

 これまで述べてきたとおり、マーケティングオートメーションは、リード(見込み顧客)や顧客接点情報の収集、その精査、そしてアクションという一連の流れをデータやシステムを利用して自動化する概念だ。

 どのようなリード/接点情報を収集し、どのようなデータに基づいて精査し、どのようなアクションをするのか?これらをシナリオとして予め描き、システムに自動実行させていく。

 ところが人的な営業活動が介在する場合、一連のプロセスを自動実行が可能なシナリオとして記述するのはきわめて難しくなる。

 こうしたケースでは、ウェブ上での接点情報を精査し、「営業活動をかけるに値する」と十分に確認できた段階で、営業側にリードの情報を引き継ぐ。しかしこの見極めは多くの場合、属人的な対応に頼っている。いわゆる直観や過去の経験則に基づいてアクションを起こしているわけだ。

 こうした場合には、スモールスタートでこのプロセスを自動化しようとするのは容易ではない。プロセスを分解・可視化して、「受注見込みの高い顧客かどうか」をどう判断しているかを営業担当者からヒアリングし、標準化したうえで、選択作業を自動化する要件を考えていかなくてはいけない。現状可視化されていない業務プロセスを机上で考えなければならない点を考えても、なかなか難しいことは容易に想像がつくだろう。

CMSを駆使して自動化

 そこで提案したいのが、企業ウェブサイト、いわゆる公式ホームページに閉じた形でのマーケティングオートメーションから始めるという手法だ。

 企業の公式サイトへの訪問方法は様々だ。異なるキーワードで検索をかけたり、リンク元から移動したりしてくる。閲覧者によって、タイミングや来訪頻度、閲覧するコンテンツも様々だ。これらの違いに応じて自動的にプロモーションコンテンツの出し分けを行い、接点情報の収集→精査→アクションのプロセスをウェブ内で完結させる。

 例えば「検索のキーワードに応じて自動的に見せるプロモーションバナーを変える」「特定のページを複数回閲覧したユーザーには、お試しプランを優先的に表示する」「IPアドレスから地域を特定できる場合には、その地域限定の取り組みをトップページから伝える」といったアクションをとるわけだ。

 難しく聞こえるかもしれないが、近年、こういった機能を持つCMS(コンテンツマネジメントシステム)が現実的な選択肢になりつつある。

 CMSというと、HTMLのコーディングや公開に向けた承認プロセスをシステム化し、運用の負荷やコストを軽減する運用支援のソリューションとの認識が一般的だろう。しかし一部の製品では、コンテンツの管理だけでなく、顧客体験管理(エクスペリエンスマネジメント)機能に力を入れ始めているのだ。

 数年おきに行うサイトリニューアルで、CMSの導入や入れ替えを検討する企業も多い。リード管理やキャンペーン管理といった本格的なマーケティングオートメーションを実現するのは難しいが、現実的なスモールスタートとしては十分に選択肢に入るのではないかと思う。

 次回は、マーケティングオートメーション機能を有するCMSで具体的にどのようなこと可能になるのかを説明していきたい。


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田島 学(たじま まなぶ)
アンダーワークス代表取締役社長
田島 学(たじま まなぶ)




早稲田大学政治経済学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)などを経て2006年4月にデジタルマーケティングのコンサルティング会社アンダーワークスを設立。