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 今回は前回に引き続き会社の老化を遅らせる方法について解説します。

 企業理念が重要だとはよく言われることですが、これは老化を遅らせる観点からも有効です。それは、組織がたどる不可逆プロセス、つまり一方通行の非効率化のメカニズムの一つである「放っておけば方向がバラバラになる」ことを抑えることができるからです。

理念の共有が老化防止に重要な理由

 理念というのは、経営における日々の細々とした施策の方針やコンセプトとなる上位概念です。これは日常業務の一つひとつの目的や大きな目標となるものですから、前回「老化の兆候」として紹介した「手段の目的化による思考停止」を食い止めるのに有効です。この点が一つ目のポイントです。

 一つひとつの仕事を「箸の上げ下ろし」のレベルで指示するのではなく、「他社がやらないことをやる」とか「○○の技術で社会貢献する」といった上位レベルの目標から自らの具体的な行動を自分で考えることで、考える組織の色が濃くなっていきます。考える組織が老化を遅らせることについては前回お話した通りです。

 もう一つのポイントは、理念の共有によって時間とともに各社員の行動がバラバラになっていくスピードを、方向性を合わせることで遅らせることができる点です。組織には様々な不可逆性が潜んでいるのはこれまで連載で述べてきた通りですが、その不可逆性の一つが、「時間とともに従業員の行動の方向性がランダムにバラバラになっていく」という点です。

 これによって組織が没個性化し、意思決定が遅くなっていきます。この点への対抗手段としても理念の共有がプラスに働くということです。これは熱力学の第二法則として知られる「エントロピー増大の法則」のイメージにも似ています。これはざっくり表現すれば、一つの閉じた空間内の物が時間とともに不可逆的に乱雑さが増していくということで、視覚的イメージでとらえるとのようになります。

 卑近な例で言えば、「部屋が自然に散らかっていく」(が自然には片付かない)というのもこのイメージに近いと言えます。