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 今秋にアップルのスティーブ・ジョブズ氏を主人公にした映画が国内で公開されるなど、ICTをテーマにした作品が目につくようになった。公開中の宮崎駿監督のアニメ「風立ちぬ」は、ゼロ戦の設計者である堀越二郎氏を主人公に「ものづくり」の感動を伝えており、「理系心」をくすぐる内容だ。口コミで話題になったインド映画「きっと、うまくいく」は、歌あり踊りありのコメディでありながら、インドのICT企業に就職すべく日々悩んでいる大学生たちを描いていた。

 最近の作品だけでなく、ICTの視点で探してみると、これまでも様々な映画の「ネタ」として取り上げられている。スマートフォンやインターネットをどうサスペンスに結び付けるかなど、SFとは異なるストーリーやアイデアに驚かされる。

 そこで今回の夏休みスペシャルでは、ICTを題材にした映画のDVD(ブルーレイ・ディスクも含む)を紹介しよう。70年代や80年代の作品も取り上げており、現在からすればICTの懐かしい描写もあるが、それなりに楽しめるはずだ。暑い夏には、涼しい室内で映画DVDをのんびりと鑑賞し、ICTの将来について思いを巡らすのもいいだろう。


 ICT関連の映画といえば、まずは「ソーシャル・ネットワーク」がある。世界最大のSNSサイト「Facebook」の誕生や成長を描いており、創業者のマーク・ザッカーバーグ氏の単なるサクセスストーリーではなく、アイデアをめぐるライバルとの確執、創業メンバーとの友情や別れをテンポよく見せる(写真1)。

写真1●「ソーシャル・ネットワーク(1枚組)Blu-ray」:2500円(税込)、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
写真1●「ソーシャル・ネットワーク(1枚組)Blu-ray」:2500円(税込)、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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 映画の中では、ハーバード大学に通う19歳の学生、ザッカーバーグ氏が「自分をみくびった女子学生を振り向かせたい」という若者らしい動機からSNSを立ち上げたとしている。それが次第に大きくなり、インターネット時代のうねりの中で大成功する。だが、様々な障害が立ちはだかり、栄光と引き換えに多くのものを失っていく。

 監督はデビッド・フィンチャー。「エイリアン3」「セブン」「ファイト・クラブ」といった、これまでの監督作品はどれも色調を抑えた暗い画面が多い。しかし「ソーシャル・ネットワーク」は明るい感じに仕上がっているので、おどろおどろしい内容ではない。過去と現在の場面をうまく盛り込んで緊張感を高め、飽きさせない構成になっている。

 マイクロソフトのビル・ゲイツ氏とアップルのスティーブ・ジョブズ氏を主人公にした映画もある。「バトル・オブ・シリコンバレー」がそれだ。鬼才で変わり者といわれる2人の対決を描いた、実話に基づくストーリーだという(写真2)。

写真2●「バトル・オブ・シリコンバレー」:DVD 1500円(税込)、ワーナー・ホーム・ビデオ
写真2●「バトル・オブ・シリコンバレー」:DVD 1500円(税込)、ワーナー・ホーム・ビデオ
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 テレビシリーズ「ER緊急救命室」で知られるノア・ワイリーがジョブズ氏を、同じくテレビシリーズ「デッド・ゾーン」のアンソニー・マイケル・ホールがゲイツ氏に扮している。

 両者の風貌が本物にどこまで似ているかはさておき、パソコンという新しい産業が勃興したときの様子を、ときに激しく、ときにユーモアを交えて見せている。脚本・監督のマーティン・バークは当時のシリコンバレーの状況を、「まるでシェークスピア劇、これは渇望、貪欲、野心、愛、憎しみについての物語だ」と語ったという。それほど劇的な時代だったのだろう。

 「ソーシャル・ネットワーク」や「バトル・オブ・シリコンバレー」でも、ベンチャー精神というだけでなく、これまでとはまったく異なる新しい時代を生みだそうとする大いなる躍動感を画面から感じる。