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 会計事務所向けシステムをクラウドで提供するアカウンティング・サース・ジャパン(A-SaaS)。代表取締役社長の森崎利直氏が同社を起業したのは還暦を過ぎた2009年のことだ。まさに“シニア”アントレプレナーである。現在、大手3社が市場の約8割のシェアを握っている会計事務所向けシステムの市場に切り込み、2017年までに5000事務所への導入を目標としている。現在66歳になる森崎氏にITベンチャーを起業した経緯やシニアの起業について聞いた。

(聞き手は大谷 晃司=ITpro


60歳を過ぎてベンチャーを起業しました。その考え方などを聞かせていただけないでしょうか。

アカウンティング・サース・ジャパン(A-SaaS) 代表取締役社長の森崎利直氏
アカウンティング・サース・ジャパン(A-SaaS) 代表取締役社長の森崎利直氏

 ベンチャーを起業する人は、まず前向きな発想がないといけません。起業には、起業する意味やきっかけがある。そのきっかけを前向きにつかみに行こうとするかどうかが大事です。これは年代に関係ありません。僕は起業してから4年ちょっとだけど、起業後も七転八倒の日々が続きます。そのとき自分が落ち込んでいたらやっていけないですよ。「前を向くんだ」という発想ではないと精神的にも肉体的にもまいってしまう。

 そうした発想のほか、シニアの起業が成功するには、自分が過去にやってきて、得手としていることに取り組むことだと思います。60歳を過ぎて全然違うことをやろうとしてもできないですよ。シニアの起業で気になるのは、体力や持続力がないことを意識しないといけないということ。自分一人じゃできないということです。それが最初から分かっているのはいいことだと思います。若いころは「自分でやるんだ」となりがちだけど、起業して経営するとなると、いろんな人の意見を聴いたり知恵を借りたり、行動してもらったりしないといけない。

そもそも起業した理由を教えてください。

 僕の場合、一般的なパソコンを使ったコンピュータシステムをこれまで考えてきたわけですけど、今回の起業の原点というのは、本当にお客さんがそれに満足しているのかどうか、というところに疑問を感じていたことです。会計事務所のコンピュータシステムは40年近く専業ベンダーさんが培ってきたんだけど、クラウドやSaaSのようにコンピュータを使う仕組みが大幅に変わる中で、僕がお世話になってきた業界は置き去りにされていると感じたんです。

 起業する1年前はクラウドについて何も知らなかった。当時の僕にとって、クラウドは未知の世界ですよ。それがある日偶然、知人であるソフト会社の社長に会った。「何してるんだ」と聞かれ、「還暦になって、最後に何か仕事をして終えたいんだけど、どういう仕事をしようか悩んでいるんだ」「最後は40年お世話になった会計事務所の仕事がしたいんだ」と言ったら、その知人が「森崎さん、クラウドコンピューティングとかSaaSとか知ってるか」と言ったんだよね。「知らん」と言ったら、その後四谷の喫茶店で2時間かけて教えてもらった。その話を聞いた時、会計事務所が抱えている問題が本当に解決できると思ったんです。