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 みずほ証券は2013年8月7日、株誤発注の損失をめぐる東京証券取引所との裁判で、控訴審判決を不服として最高裁判所に上告した。「まだ議論は十分に尽くされていないと考えている」(みずほ証券コーポレート・コミュニケーション部)。裁判は東証の旧・株式売買システムに発注を取り消せないバグがあったことで生じた損失など、約415億円の賠償を東証に求めたものだ。2005年12月の事件発生から7年半。誤発注裁判は東証に約107億円の支払いを命じた一審・控訴審では決着がつかず、最高裁までもつれ込んだ。

 バグを含むシステムを提供したのは、サービス事業者の重過失に当たるのか―。最大の争点はここにある。この点について、ITproでITプロフェッショナルを対象に実施した緊急アンケートの結果を見ても、判断は分かれている(関連記事)。

図●ITproで実施した、控訴審判決についてのアンケート結果
図●ITproで実施した、控訴審判決についてのアンケート結果
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 バグを重過失と認めなかった控訴審判決については、「妥当」とする意見が過半を占めた。一方、ITベンダーに所属していない技術者を中心に、「取り消し処理は基本的かつ重要な機能。テスト不足と言わざるを得ない」といった意見も目立った。

 今後の行方について、ある弁護士は「既に証拠は出尽くしており、最高裁が判決に向けた審理に入るためのハードルは高い」とみる。みずほ証券側が上告から50日以内に提出する上告理由書で、高裁の判決理由に不備があることを示せなければ上告棄却、つまり「門前払い」となる。

 仮に最高裁が審理に入った場合、注目すべきは「バグが重過失に当たるか」について、最高裁が一定の結論を下すかどうかだ。

 東京高等裁判所は控訴審でソフトウエアの専門家を鑑定人として選任せず、みずほ証券と東証がそれぞれ提出した専門家の意見書を基に検討した。さらに判決では「双方の意見書は相反し、甲乙つけがたい」として、結論を出さなかった。「バグの発見・修正が容易であったことを証明できれば、重過失として認定できる」と判断したものの、どんな場合にバグの回避が容易だったと認められるかの基準は示さなかった。

 ITが社会に広く浸透する今の時代、ITサービスの提供者がバグによる損失の責任を負うかどうかの判断基準を設けないと、今後も同じ紛争が繰り返される恐れがある。上告審ではこの基準を示せるか。最高裁に「最後の期待」がかかる。