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 「土砂崩れで村ひとつが丸ごと埋まってしまった」。台湾内政部消防署の陳文龍副署長は、4年前の8月8日を昨日のことのように思い出す。台風が全土に上陸し記録的豪雨が発生、700人近くの死者が出た通称「八八水害」である。

 台湾では台風による被害が毎年のように発生する。その被害を減らすため、日本の消防庁に相当する台湾の内政部消防署はITの活用に踏み切ることを決めた。2014年末までに段階稼働させる「防災救急情報クラウドシステム(防災クラウド)」がそれだ。台湾当局や自治体、住民が災害情報を共有し、避難や救助に生かすための仕組みである(図1)。

図1●「防災救急情報クラウドシステム」の利用イメージ
図1●「防災救急情報クラウドシステム」の利用イメージ
災害情報の収集、管理を担う「EMIS」や住民に配布する通報アプリをNECが開発する
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 防災クラウドに先駆け、内政部消防署は2013年8月にもスマートフォンなどで動作するNEC製の「通報アプリ」を住民に配布する。災害時に輻輳が起こって119番通報がつながらなくなっても、住民が救助を求められるようにするためだ。住民は通報アプリを通じて、位置情報や被害状況を示す写真データを送ることができる。

 住民からの通報や各地の自治体などから寄せられた情報を防災クラウドに集約し、台湾全土の災害情報を迅速かつ正確につかむ。これによって、「災害情報を漏れなく収集し、状況に応じてスピーディに対策を協議することが可能になる」(陳副署長)。

 大規模災害の発生時には、内政部消防署にある「防災センター」に馬英九総統など閣僚が集合し、指揮を執る(写真1)。

写真1●内政部消防署内の様子(右)大規模災害の発生時は防災センター(下)に関係者を招集する
写真1●内政部消防署内の様子(右)
大規模災害の発生時は防災センター(下)に関係者を招集する
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