「処方箋のデータが大変価値のあるものだと気づき13年前から蓄積してきた。このビッグデータから様々なアイデアを導き出して、社会保障制度を下支えするビジネスをしていきたい」。日本調剤の三津原博社長はそう語る。
特別賞を受賞することになったのは、ビッグデータ活用でいち早く収益ビジネスを立ち上げたことを評価されたからだ。日本調剤は 「処方箋のデータが大変価値のあるものだと気づき13年前から蓄積してきた。このビッグデータから様々なアイデアを導き出して、社会保障制度を下支えするビジネスをしていきたい」。日本調剤の三津原博社長はそう語る。
特別賞を受賞することになったのは、ビッグデータ活用でいち早く収益ビジネスを立ち上げたことを評価されたからだ。日本調剤は2012年から、製薬会社向けの情報提供ビジネスを手掛けている。分析の基とするのは全国約470の調剤薬局で扱う処方箋のデータ。その数は1日当たり約4万枚、年間で1000万枚を超えた(写真1)。
処方箋を分析すれば、どの薬がどの地域で多く処方されているのか、年齢層によってバラツキがあるのかといったことを把握できる。こうした情報を製薬会社などに提供すれば、大きな売り上げが見込める。そう予感した日本調剤は、社内で独自の分析システムを構築し、新事業に打って出た。
処方箋データを販売する企業は他にもあるが、日本調剤の場合、自社の薬剤師がジェネリック医薬品(後発薬)と先発薬のどちらを選んだかまで分析して提供する。製薬会社はこうした情報を喉から手が出るほど求めているという。ジェネリックの処方動向は、先発薬メーカーの経営を大きく揺さぶりかねないからだ。
情報提供事業の付加価値をさらに高めるため、日本調剤は2014年3月までに約1億円(日経コンピュータ推定)を投じ、BI(ビジネスインテリジェンス)システムを刷新する。年間IT投資額が推定数億円の同社にとって、大きな挑戦だ。
「ハードウエアとソフトウエアの制約により、主に過去の処方実績を分析していた。処理能力を向上させることで、どんな薬の需要が増えるのか、未来を的確に予測したい」と河野文隆システム部長は力を込める。今後は、より多くの製薬会社に加え、大学や医療機関などへの拡販を目指す。