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 あなたは右脳派か左脳派か?一般的には右脳=直感力であり、音楽や色彩、空間などをつかさどる。また、空想したりモノの全体感を捉えたりすることも右脳の働きといわれている。一方で左脳=論理力で、言語や数、時間を処理する働きを行う。物ごとを分析して順序立てたり、リストを作ったりするのは左脳の働きであるという。

 このような一般論をシステム開発者に当てはめてみると、左脳派が多いという推論が成り立つ。開発者の仕事を並べてみると、そのほとんどが左脳を使って実施するものである。実際、開発プロジェクトで利用するWBS(Work Breakdown Structure)や各種管理表は、複雑多岐にわたる仕事を分析してカテゴリー別に分類し、優先順位とタイムスケジュールを割り振るというように左脳機能をフル回転させなければ作れない。

 一方で、ユーザーはどうか。日本の企業に勤めている多くのビジネスパーソンはやはり左脳を使って仕事をすることが多いだろう。だから開発者とも論理的な話し合いができるし、管理表の内容も理解できる。

 しかし、中には明らかに右脳派の人もいる。創業社長やヤリ手の営業担当者、デザイン力やセンスを必要とする職種などに右脳派が存在することが多い。彼/彼女らの直感力は素晴らしく、侮れない。あるべき姿に気が付いたり、一見すれば粛々と進んでいるように見えるプロジェクトの歪みを見つけたりするからだ。

 ただし、それを他者に分かり易く伝えることができるかどうかは別である。「ここの部分、もう少しパッとできればススッといきそう」「何かこのスケジュール、気持ち悪い。よく分からないけど、何か変」といったような言葉が出てくる。

 そんなとき、相手の言いたいことが直感的に分かる開発者はほとんどいないだろう。「ススッと、とは具体的にどのようにすることでしょうか?」という質問を返すか、瞬時に質問を返すことができずに聞き流してしまうか、のどちらかになることが多い。

 10年以上前のことだが、筆者が今でも覚えている右脳的な発言がある。仕事の打ち合わせの中で聞いた「PCは使い勝手が悪い。喉が渇いたら冷蔵庫から麦茶を出してコップに注ぐくらい簡単にならないの?」というものだ。そのときは「何を言ってんだろう、この人は」と思ったが、最近のタブレット端末の使い勝手は、冷蔵庫から麦茶を出すより手間がかからないではないか、と今になって思う。

 右脳左脳論の結論はたいていの場合「バランスよく使いましょう」である。無理をして右脳派の指摘を論理的に理解しようとしても無駄だ。ただ、理解できないからといって、極端に偏るよりはバランスを取ったほうがいい。左脳に偏りがちな開発者は意識的に右脳を使うことになる。仕事の中に無理なく取り込めるものがいい。

 例えば「プロジェクトの見える化」がある。見える化の施策としてチャートやマインドマップを活用するほか、意図的にアナログな道具を使うことがある。これらは誰が見てもパッと直感的に分かることを目指している。ぜひ実践してもらいたい。

永井 昭弘(ながい あきひろ)
イントリーグ代表取締役社長兼CEO、NPO法人全国異業種グループネットワークフォーラム(INF)副理事長。日本IBMの金融担当SEを経て、ベンチャー系ITコンサルのイントリーグに参画、96年社長に就任。多数のIT案件のコーディネーションおよびコンサルティング、RFP作成支援などを手掛ける。著書に「RFP&提案書完全マニュアル」「事例で学ぶRFP作成術 実践マニュアル」(共に日経BP社)など