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 「海外売上高比率を25%に、売上高営業利益率を5%に、それぞれ早急に高めたい」。NECの遠藤信博社長は2016年3月期を最終年度とする中期経営計画の発表会で、意気込みを見せた。

 NECの2013年3月期連結決算は、売上高が前年度比1.1%増の3兆716億円、営業利益が同55.5%増の1146億円と増収増益。国内企業向けのITサービスと、通信事業者向けビジネスが牽引役となった。最終損益は304億円の黒字に転換し、減収を続ける富士通とは明暗が分かれた。

 だが一皮めくれば、違う姿が見えてくる。5年前と比べると、PCや半導体を分離したことから売上高はほぼ1兆円減少(図1)。過去5期の最終損益の累計は、3775億円の赤字だ。堅調な内需を取り込んだことで、前期にようやく止血に成功したと表現するのが実情に近いだろう。

図1●NECの重点領域と連結業績推移
図1●NECの重点領域と連結業績推移
「アジアで大きなフットプリントを築き、海外売上高比率を25%にまで高めたい」と遠藤信博社長は語る。
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日産リーフの電池技術を応用

 反転攻勢のために注力するのが「エネルギー」だ。NECは1990年代からリチウムイオン電池の開発を進め、製造する電極は日産自動車の電気自動車「リーフ」に採用されている。「自動車用電池は、民生用とは比較にならないレベルの安全性を求められる。蓄積したノウハウをITと組み合わせれば、新ビジネスを生み出せる」と、NECでスマートエネルギー事業を統括する國尾武光執行役員は自信を見せる。

 狙うのは、大型蓄電池システムの拡販だ。単に電池を販売するのではなく、クラウドで使用状況を常に監視して、劣化などを早期に把握するサービスも提供する。

 海外展開でも蓄電池が一つの鍵になると、國尾執行役員は期待する。「インドのような新興国では、ディーゼル発電機を利用して携帯電話基地局を稼働させている。ここに蓄電池システムを導入したい。強みとする基地局システムとの相乗効果も期待できる」。

 NECのスマートエネルギー関連売上高は、前期で500億円程度。今期は5割増の750億円へ、中計最終年度までに2200億円へと伸ばす計画だ。その約半分を蓄電池関連で稼ぐのが目標である。

 一方で、整理すべき「宿題」も多い。例えば携帯電話端末事業。NECは前期に430万台の出荷を見込んでいたが、実際には290万台にとどまった。今期は300万台の出荷を目指すが、それでも150億円の営業赤字になる見込みである。中国レノボ・グループと売却交渉を進めている模様だが、先行きは不透明だ。2000億円以上にのぼる年金の「未認識債務」も重荷だ。年金については、富士通も同様の問題を抱える。

 「公表した計画の未達を繰り返したことで、NECは市場からの信頼を失っている」とガートナージャパンの亦賀忠明最上級アナリストは苦言を呈する。冒頭の遠藤社長の約束は重い意味を持つ。