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 日立製作所は6月1日、全世界のビッグデータ関連部門を統括する「日立イノベイティブ アナリティクス グローバルセンタ」を開設した。各地の研究所や事業部門に分散する人材を統合し、300人体制の組織を作る。

 前期に100億円程度だったビッグデータ事業の売上高を「2016年3月期に1500億円に伸ばす」と渡部眞也執行役常務は述べ、情報・通信システム部門の中核事業に位置づけた(図1)。

図1●日立製作所の重点領域と部門業績推移
図1●日立製作所の重点領域と部門業績推移
中西宏明社長は、クラウドを活用して日立が抱える多様な製品を「サービス化」し、2016年3月期に「海外売上高比率50%超」を目指す。
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 IT業界における日立の強みについて、「エネルギーや交通などの実業部門と一緒に、データの使い方を提案できること」と渡部常務は説明。社内のノウハウを集約し、社会インフラ関連企業に、データ解析サービスを提供する。2014年3月までに、100件のプロジェクトを実施する計画だ。

6000万人の医療データ分析

 ヘルスケア分野では、英国で国民保険サービスの一機関と提携した。欧州の研究拠点と国内の事業部門が連携して、6000万人以上の診療データを分析し、疾病予防サービスなどを開発する。エネルギー分野では昨年末、日立の米国子会社が英コンサルティング企業を買収。鉱山などを運営する顧客企業に対し、データ分析サービスなどの提案活動を始めた。

 コンサルティングなど上流工程から顧客の懐に入り込むことで、サービスに加えストレージなどの拡販にもつなげられる。1500億円のうち1000億円を海外で売り上げる計画だ。

 全社の中期目標達成にも、ビッグデータ事業の強化は欠かせない。

 日立は5月、今後3年間で連結売上高10兆円と、7%超の営業利益率の達成を目指す「2015中期経営計画」を策定した。中西宏明社長は「クラウドを活用したサービス事業の拡大」と「海外売上高比率50%超」が計画実現に欠かせないと強調する。ビッグデータ事業はサービスと海外売上高の両方の比率を増やす切り札となり得る。

 クラウド事業では、米アマゾン・ドット・コムなど海外大手との提携戦略を推進する。ビッグデータとクラウドを成長の柱に据え、前期に1兆7865億円だった情報・通信システム部門の売上高を、2016年3月期に2兆1000億円に伸ばす目標を掲げる。

 課題はプロジェクトマネジメントの徹底だ。他社システムのリプレース案件などで、前期は約200億円の不採算事業に苦しんだ。受注を確実に利益に結び付けるには、管理体制の強化が不可欠だ。