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 全日本空輸(ANA)は2013年7月、国内線の予約や発券、搭乗に関する基幹系システム「able-D」を25年ぶりに全面刷新したと発表した。2世代前から通算して34年間、メインフレーム上で稼働してきたシステムをオープンシステムに置き換えた()。基幹系を全面的にオープン系で刷新したのは世界の大手航空会社でも初めてという。米ユニシスの航空会社向けパッケージ「AirCore」を利用した。総投資額は約200億円。

図●全日本空輸の国内線向け基幹系システムの概要
34年間メインフレームで稼働していた旧システムを、世界の大手航空会社として初めてオープンシステムで刷新した。
図●全日本空輸の国内線向け基幹系システムの概要
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 システム刷新により、早期予約の際に運賃を割り引く「旅割」といった新サービスの投入や、システムの性能増強などを機動的に実行できるようにした。旧システムはたび重なる改修で複雑化し、変更しにくくなっていた。開発言語はFortranとアセンブラで、技術者の確保が困難だったことも問題だった。「技術者の人数の制約により、サービスを迅速に投入できないというもどかしさがあった」と、同社業務プロセス改革室ITサービス推進部国内旅客チームの金子肇リーダーは話す。

 新システムはJavaを利用しており、人材を確保しやすい。新サービスを迅速に投入できるだけでなく、「開発に要するコストを数十%削減できるとみている」(金子リーダー)。サーバーの追加も従来と比べて低コストで済む。

 ただし、AirCoreは搭乗手続きなしに手荷物検査場に直行できる「スキップサービス」やコンビニ決済などの日本独自のサービスに対応しておらず、これらの機能は新規に作り込む必要があった。AirCoreの採用はANAが世界で3社目という。

 システムの切り替え作業は、ベンダーの日本ユニシスとともに綿密に計画し、約4時間半で完了した。2013年2月15日午後11時50分にANAの基幹系を共用する提携先のスターフライヤーの最終便が出発してから、スターフライヤーの最初の便に向け空港がオープンする翌16日午前4時30分までの間に切り替えた。

 データ移行に関しては、マスター系はシステム切り替えの前に実施した。更新が発生するデータは切り替え日前の1週間に順次差分を更新。その後、切り替え日の4時間半の間に前日分のデータを新システムに移行した。最終便が天候不良などで出発空港に戻った場合、更新データが再度発生してしまうため、「台風など天候不良が発生しにくい2月を戦略的に選んだ」(金子リーダー)。

 切り替え作業は2013年2月に完了。繁忙期の8月の予約受付をトラブルなしに乗り切ったことで移行が正式に完了したとみなし、発表に至った。