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 日産自動車の電気自動車「リーフ」には情報システムが“標準装備”されている。無線を使ってインターネットで日産のサーバーに常時接続し、故障予知などの情報サービスをドライバーに提供するのだ。ITが組み込まれたリーフは、これからの日産の製品戦略の方向性を示すものと言える。

 「システムが間に合わないなら新車を発売できない。ITは新車開発におけるクリティカルパスになった」とCIO(最高情報責任者)の行徳セルソ 執行役員 グローバル情報システム本部本部長は話す。CIOの役割も変わった。従来のレポートラインではCFO(最高財務責任者)の配下だったが、今はCMO(最高マーケティング責任者)のもとにある。CIOはトップライン(売り上げ)を押し上げる役割も求められているのだ。

 このように、CIOはIT部門の責任者やガバナンスの守護者としての役割だけでは収まらなくなりつつある。最近では、画期的な製品・サービスを生み出す、あるいはビジネスモデルを変えるといった領域でのIT活用が、経営陣から強く要請されるようになってきたことがその背景にある。

 長く続いた日本経済の低迷。世界で勝ち残っていくためにはビジネスを変革しなければならない。アベノミクスで先行きに明るさが見えてきた今がその最後のチャンス。多くの経営者がそう考えている。そして、変革を実現する最大の武器がITというわけだ。

龍馬が示すネクストCIOへの道

 だが一見するとCIOができることは限られている。ITでビジネスを変えると言っても、その主体は事業部門であり、CIOやIT部門は支援する役割だ。しかも、既存システムの運用以外に使えるIT部門の人員や予算は多くない、というケースが一般的である。では、どうすればよいのか。

 今回、CIOの在るべき姿に深い問題意識を持つ21人のCIOに取材あるいは文書回答を依頼し、自身の取り組みや意見を聞いた。その結果、これからのCIO(ネクストCIO)像が見えてきた。端的に言えば「龍馬のごとく」である。坂本龍馬は今日以上に先の見えない混迷の幕末にあって、少人数の同志とともに、薩摩、長州といった大勢力に働き掛け、新しい時代をもたらした。

 龍馬の主な事績は次の三つだ。イノベーターとして日本が目指すべき道筋を示したこと(船中八策の起草)、共通の目的に向けて利害の異なる者同士をつないだこと(薩長同盟の実現)、同志たちにビジネスで稼がせることで目的に向けて貢献したこと(亀山社中の設立)である。加えて、龍馬は古い既存の枠組みから自らを解き放つこと(脱藩)で大仕事を成し遂げた。ネクストCIOの条件はこの四つに整理することができる()。

図●坂本龍馬の事績で明らかにするネクストCIOの条件
図●坂本龍馬の事績で明らかにするネクストCIOの条件
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 次回以降、それらの観点でネクストCIOの在るべき姿を見ていく。どうすればネクストCIOにIT担当者がなれるのかも探ってみよう。