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 この特集では、米国のデータサイエンティストの活躍をレポートする。第1回は、著書や講演を通して、日本でも有名なディミトリ・マークス氏に聞く。その働き方や分析手法、勘所とは。

(聞き手は、酒井 耕一=日経情報ストラテジー)


米シスコシステムズや、現在勤務する広告代理店などでのデータサイエンティストとしての体験を著書にまとめています。原題が「SEXY LITTLE NUMBERS」ですが、セクシーと付けたのはなぜですか。

Dimitiri Maex氏
大手広告代理店、オグルヴィ・ワン・ニューヨークのマネージング・ディレクターで、同社を代表するデータサイエンティスト。ベルギー出身で、アントワープ大学で計量経済学を学んだ。クラフトフーズや欧州の飲料メーカー勤務を経て、2004年に米シスコシステムズでデータ分析を担当。その後、オグリビィに入る。データ分析の組織や手法などをわかりやすくまとめた『SEXY LITTLE NUMBERS』の邦訳は『データサイエンティストに学ぶ「分析力」』(日経BP社)。
ディミトリ 出版社の担当者が「本を売るため」にセクシーと言う単語を選びました(笑)。結果として、手に取ってみたくなる本になったと思います(笑)。

 数字とか分析などと聞くと、難しいとかとっつきにくいと思う方は多いでしょう。データ分析を前面に出せば、なおさらそう感じるかも知れません。

 私はこの本を数学で学位を持っているとかコンピュータの専門家ではなく、普通に仕事をしている方に向けて書きました。父方の親戚が英国で肉屋をしているのですが、彼のような人に読んでもらいたいと心に浮かべていました。専門用語もなるべく少なくしています。

 世の中は数字に溢れています。難しい数式ではなく、身近な数字にこそ、仕事の成果や効率を高めるヒントがあると私は信じています。

ディミトリさんが米シスコシステムズで働いた際に顧客を4分割して重要顧客を洗い出す「バリュースペクトラムモデル」は体験に基づく法則で印象的です。難しい分析ではなくて、簡潔にまとめて、優先課題を見つけて、行動に移す。それがデータサイエンティストの仕事と感じました。

ディミトリ 私自身はベルギーで生まれ育ち、結婚もしました。新婚旅行の行き先は米シリコンバレーのシスコシステムズです。セクシィな行き先ではとてもないでしょう(笑)。でも大きな国に行きたかったことと、シスコでデータ分析の仕事があったので、挑戦することにしました。まさに行動したのです。

 そしてセクシィ(魅力的)な数字の見方を身につけました。バリュースペクトラムモデルは、まさにマーケティングの基本となるもので、私も気に入っています。顧客を増やしたい、あるいは売上高を伸ばしたいなど課題に対しては、皆にわかりやすい説明をすることが大切です。

 例えば「優良顧客」と言うと、一般には自社に取って取引高が大きいトップ25社とかトップ50社を選ぶでしょう。では、さらに取引を伸ばすには、どうすればいいか。トップ50社からは見えてきません。予算を多く持つ取引先で、かつ自社への発注額や優先順位が高い“金脈の会社”を割り出すことが大切です。