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 特集の3回目は、米シリコンバレーで幅広く活躍するアリスタ・クロール氏が語る。データ分析は日本人に向いており、「すぐ実行」が成功の秘訣と言う。“規格外の発想”も心がけよう。


Alistair Croll氏
Alistair Croll氏
米シリコンバレーで起業家や評論家として活躍する。ビッグデータやデータサイエンティストなどをテーマに様々な講演活動やイベント開催を手掛ける。クラウドコンピューピィングや先端技術調査の会社などを立ち上げる。データ分析を活かしてすぐに事業を始めることを説いた「リーンアナリティクス」が米国で話題を呼んでいる。

 グーグルの検索エンジンを使えば瞬時に大量の情報を得られる時代になりました。これが個人だけはなく、企業においても短時間に低コストで膨大なデータが得られます。

 自動車の価格が下がって、人々の生活や都市計画、産業構造が変わっていったように、データ蓄積・分析コストの低下はビジネスを変貌させると思います。私は複数の会社を起こして経営に関わったり、様々な会社に技術や事業に関する仕事をしたりしていますが、まさにビッグデータ時代を迎え、データサイエンティストが重要になると感じています。

 その役割は事業におけるデータ分析に限りません。起業を手掛けたり、独創的な新製品を作ったりすることにも貢献できます。

つぶやきデータで即アクション

 起業に関しては著書『リーンアナリティクス』でその商機について述べました。かつてはいい事業アイデアが浮かんだら、市場調査をしていたでしょう。ですが今はツイッターやSNSで思いを述べて、反応を探ればいい。反響が高ければすぐに起業すればいいのです。つぶやきデータを活かせば商機を逃しません。

 実は、私は日本人がその職業にとても向いていると感じています。なぜならトヨタ自動車やホンダが示すように「改善」が得意だからです。

 データ分析は目的ではなくサイクルです。データを見て、戦略を進め、当初の目論見と異なるところがあれば修正する。これを繰り返してデータ分析は大きな成果につながります。日本企業はデータ分析のサイクルを早く確立すると信じています。 

 データサイエンティストは数学や統計に詳しいことが大切ですが、私はコミュニケーション能力も欠かせないと思います。優れた分析官は、「顧客動向」や「購買履歴」といったデータ分析の結果だけではなく、報告する相手が「知らなかった」ことを知らせます。自社が事業において何を見落としていたかをデータ分析の結果から導き出し、次の手を考えます。「気付き」と「改善」が重視されるわけです。

 その際に「1つの測定」で優先順位を明確にすることが大切です。例えば、アプリの分析。天気予報のアプリは使用頻度は高いが、時間は短い。一方で旅行アプリが頻度は少なくても、閲覧時間が長い。どちらのユーザーを優先するかを決めたら、すぐに行動を起こす。行動しなければ改善につながりません。分析が分析のまま終わってしまうのが最も惜しいことです。

 これは自身の企業経験から感じます。私はかつてウェブ関連の会社を創業して経営していましたが、結果として他社に売却してしまいました。課題を見つけて「改善」をするのがあまり得意ではないとわかったからです。分析とアクションを連携させる重要性はわかっていても、見逃してしまう場合が少なくありません。

 一方で、日本のデータサイエンティストはひらめきも大切にしてほしい。日本の自動車メーカーは素晴らしいですが、米テスラモーターズの電気自動車のような“規格外”の製品も次々と生まれています。データ分析で理論的になるだけではなく、そこからのひらめきを生かせば、改善だけでなく独創的な製品も日本から続々と出てくるでしょう。(談)