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日本企業は意思決定のスピードが遅いとよく言われます。私自身もそう感じます。意思決定のスピードを速めなければ、これからの厳しい時代を勝ち抜いていくことができないと思います。ただ、具体的に何をどうしたら意思決定にかかる時間を縮めることができるのか分かりません。

 会社組織などにおける「意思決定」のスピードについて考える時、大きく二つの視点があると思う。一つは物事を決めるために必要なプロセスをこなすスピードだ。もう一つは、決断そのもののスピードである。

 一つめの意思決定プロセスについては、組織の階層を減らしフラットに近づけることが、スピードアップには有効だ。組織のタテ方向の階層を減らし、承認のプロセスを減らす方策である。

 同時に、組織内の役割を明確にすることも欠かせない。近頃は、一つの組織の中に統括部長、部長、担当部長といった役職者が存在することが増えている気がする。組織に所属する社員の高齢化が進んでいることが一因かもしれない。こうした組織においては、意思決定のラインをシンプルかつ明確にしておくことが必要だ。

 ヨコの組織の問題も忘れてはならない。近頃の仕事は複数の組織をまたがることが多く、いくつもの組織の責任者に承認を求めないと決定できない案件が増えている。この、承認プロセスの問題はかなり深刻であり、日本企業の大きな弱点だと思う。

 二つめの決断スピードについては、意思決定の場をタイムリーに設けられる仕組みを持つことが大事だ。例えば「取締役会での決議事項は開催日の1カ月半前に締め切る」といった会社であれば、どんなに急いでも意思決定に1カ月半はかかることになる。これではスピードが出ない。

 決断スピードの観点で、私自身が驚かされた米国企業の事例を紹介しよう。そこにスピードアップのヒントがあるように思う。

ホテル確保に出遅れた日本企業

 米国企業の日本支店に勤める友人から筆者にゴルフの誘いがあり、お互いの友人を連れて、ある土曜日に行こうという話になった。

 ゴルフの週がやってきて、2日前の木曜日に友人から次のようなメールが来た。「天気予報では、あいにく土曜日は雨模様の気配です。しかし、別々の会社に勤める4人が金曜日に相談し合うのは難しいと思うので、中止するかどうかの判断ルールを今から決めておきたいと思います。そのルールに従って私が判断した結果を、金曜日のうちにみなさんにメールしておきます」。

 メールは次のように続く。「判断ルールですが、金曜日の正午時点におけるゴルフ場のピンポイント天気予報で、ゴルフ場の当日の天気が、雨の確率が60%以上、かつ予測降水量が4ミリメートル以上の場合は中止にするということでどうでしょう」。

 このメールを見て、筆者は「ルール」というものを得心したと同時に、米国の会社における意思決定方法の合理性を痛烈に感じた。どんなことであっても、判断のルールを前もって決めておくというマネジメントに驚いた。