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ユーザー企業でシステム基盤の構築を担当しています。この10年間、データベースなど基盤技術に強い技術者を目指して努力してきました。にもかかわらず、クラウドの時代になると私のような基盤系の技術者はユーザー企業では不要になってしまうのではないかと不安です。

 クラウドの普及に伴い、上のような質問を受ける機会が増えている。そんなことは決してないと筆者は思う。

 クラウドの時代だからこそ、ユーザー企業にとって、基盤系の技術がますます重要になっていくと考える。クラウドを直接提供しないIT企業にとっても、同様のことが言える。基盤系技術とは、ハードウエアやOS、データベースなどミドルウエアの導入/設定はもちろん、リソース管理、性能設計/改善、トランザクション連携/制御、運用管理といったものを指す。

 まずは基盤系技術の重要性を示す“根拠”を紹介しよう。筆者の会社でアプリケーション開発を指揮する部門の部長が、システム基盤部門の部長に送ったメールの概要である。

 私は昨年8月にアプリケーション部門の部長に就きました。それ以降に生じた様々な出来事を振り返り、「基盤部門との連携無くしては、システム全体の効率的な開発や安定運用は不可能だ」と痛感しています。

 例えば、市販のパッケージソフトにアドオン開発を施したシステムに問題が発生した際、その原因がパッケージにあるのか、それとも基盤側にあるのかを切り分けるのに苦労しました。基盤部門に「問題なし」と判断してもらったので、パッケージの開発元に問題の調査を速やかに依頼することができました。

 システムの性能改善でもお世話になりました。70テラバイトというビッグデータを扱うシステムについて、基盤部門の協力により、バッチ・オンライン共に性能確保のメドが立ちました。

 アプリケーション部門と基盤部門が連携を深めれば、もっと付加価値の高い仕事が実現できると考えています。最たる例が、過去に開発したオープン系システムが軒並み保守切れを迎える「オープンレガシー」対策です。保守切れを好機ととらえ、基盤部門と密接に連携しながら、新技術や新サービスの利用を検討していきたいと思っています。

 アプリケーション部門のプロジェクトは、基盤部門の協力無くしては始まりません。相互の理解をより深めるために、両部門での合同検討会のようなものを開催してみたいとも考えています。会議室での議論だけでなく、飲み会もセットで開けたらなどと考えています。引き続きよろしくお願いいたします。

 システムになんらかの問題が発生した場合の原因究明、あるいは性能改善などにあたっては、アプリケーション部門では手を出しにくいのが実情だろう。ここに、アプリケーション部門と基盤部門によるコラボレーションの必要性が生じている。

「混成チーム」が理想的

 こう書くと、「システムを自前で持つ場合は確かに基盤技術をおさえる必要がある。だがクラウドを使えば、基盤技術はクラウド事業者に任せられるのではないか」と疑問を持つ人もいるだろう。

 もちろん、これからはクラウドが普及していく方向に変わりはない。だが、全てのシステムがクラウドに置き換わるかというと、そうとは限らないと筆者は思う。