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コンセント 代表取締役/インフォメーションアーキテクトの長谷川敦士氏(右)、同 代表取締役/プロデューサーの上原 哲郎氏
コンセント 代表取締役/インフォメーションアーキテクトの長谷川敦士氏(右)、同 代表取締役/プロデューサーの上原 哲郎氏

 スキューモフィズムの背景ですが、元々コンピュータは、現実に近づけることで使う人に分かってもらう、という考え方あった。例えば電子書籍は木目調の本棚にないとその概念が伝わらない、日めくりカレンダーを見るとカレンダーを連想する、コンピュータに不慣れな人からすればゴミ箱の方が実際の書類を捨てることに近くて分かりやすい、というところから始まっています。

 とはいえ今はデジタル化が成熟し、もともとメタファーにしていたものが、それを比喩として使う必要がなくなっているという現状があります。コンピュータの中でメールは独自の進化をしており、必ずしも昔のメタファーで説明する必要がなくなりつつあります。

iOS 6の「Newsstand」
iOS 6の「Newsstand」。スキューモフィズムの例
木のテクスチャや質感がコンテンツを受け取る人にとって、もはや余計な情報になってしまっている

 昔のメタファーに“引っ張られる”ことで、写実的で過剰になってしまうと、そのもの自体の視認性は下がってしまいます。例えば「Newsstand」の木のテクスチャや質感は、いまや余計な情報になってしまっています。それを受け取る人にとっては、見たいのはその中のコンテンツです。コンテンツを識別できるようなラインが引いてあればいい。今業界全体が、不必要な写実的な概念を捨てるという方向にシフトしてきています。

 例えば電子書籍は以前であればページをめくる時、“裏写り”がどれくらい入るかといったところの表現にしのぎを削っていました。ただ、電子書籍で出すことが前提になると、紙の本のメタファーである“裏写り”ではなく、いかにテキストがスムーズに読めるかが重要になります。

 現実がメタファーを追い越したというか、そうしたUIの世界が、これまでの現実の真似ではなく、新しいオリジナルのポジションを築くようになっている。そういうことがあり、既存のメタファーだけで表現するには無理が来ていた。