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 日本製ソフトやサービスの海外展開を成功させるには、五つの鉄則がある。前回はその内、「アジアを目指す」、「「現地化不要」分野で勝負」、「業務ノウハウを生かす」というの三つの鉄則を紹介した。今回は、残りの二つを説明する。

鉄則4:とことんシンプルに

 搭載する機能は最小限に絞り込む。そして、現地の物価に即した価格で売り込む。機能をシンプルにすれば、開発費や販売後の保守費を削減できる。導入スピードの向上にもつながる。

 機能を抑えると製品自体の魅力が向上する、との見方もある。例えば、「インドネシア企業はシンプルな機能や画面を好む傾向がある」(インドネシアのIT企業、ICSの伊藤為夫CEO)という。

鉄則5:売れるまであきらめない

 海外ビジネスは困難だらけだ。特に新興国が中心のアジアは、多くの国で日本や欧米などのようにビジネスインフラが整っていない。「試しに進出してみよう」という中途半端な気持ちでは、間違いなく失敗するだろう。

 それでも覚悟を決めて進出するのであれば、決してあきらめないことだ。あきらめなければ、日系IT企業の海外ビジネスは必ず伸びていくはずである(図1)。

図1●主な日系IT企業における2012年度の海外売上高と海外売り上げ比率
図1●主な日系IT企業における2012年度の海外売上高と海外売り上げ比率
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 NTTデータのアジア太平洋地域統括会社、NTTデータアジアパシフィックの深谷良治CEOは、グローバル化に向けた心構えについて次のように語る。「将来を真剣に考えると、苦労を覚悟の上でいま海外を開拓しておかなければならない。たとえ社内で反対されたとしてもだ。海外、特にアジアを攻めるという志に同意してくれる人を一人ずつ増やしていくしかない。それも仕事のうちだ」。

 五つの鉄則を踏まえれば、海外の道は必ず開ける。

POS、サーバー、ATM…海外進出はハードが先行

 アジアを中心とした海外市場において存在感がある日本のIT製品と言えば、ソフトやサービスよりもハードウエアが中心だ。品質に優れ壊れにくいといった、日本の「ものづくり」の特徴が受け入れられている。

写真A●NEC製のPOS端末を導入するインドネシアの「アルファマート」の店内の様子
写真A●NEC製のPOS端末を導入するインドネシアの「アルファマート」の店内の様子
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 インドネシアの大手コンビニチェーン「アルファマート」は、NEC製POS端末「TWINPOS G5」の導入を進めている(写真A)。2013年中には、全5000店舗で導入を完了する計画だ。顧客がタッチパネルで操作できる機能を備えた同端末について、アルファマートのバンバン・セトヤワン・ジョジョITディレクターは「操作性が良い」と評価する。

 富士通ベトナムの松浦太郎社長は、「当社の売上高の86%はハードが占める。顧客企業にとって、優れたハードを所有することがステータスになる」と語る。同社で最も売れているのは、PCサーバー「PRIMERGY RXシリーズ」だという。

 日立グループでもATMが中国でシェア首位、マレーシアやタイでも高シェアを獲得するなど、ハードが海外市場の開拓をけん引する。

 とはいえ、アジアの新興国も将来は、現在の日本のようにソフト・サービス重視の社会に進化していくだろう。ハード単体の販売に頼っていては、いずれ価格勝負に巻き込まれる可能性が高い。特徴的なソフトやサービスを強みに、ハードと組み合わせてソリューションとして提供する形態を確立できた企業が、海外事業の勝者となれる。