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 当社はここ数年にわたって、運用業務可視化のプロジェクトに取り組んできた。どういう業務をこなして、どういう結果を出しているのかを明らかにすることで、運用が提供する価値を高めていくためだ。運用業務は、「安定稼働している」ではなく「安定稼働させている」といえるものでなければいけないはずだ。

 情報システムのユーザーにとって最も大事なのは、システムを使ってビジネスに貢献することだ。そのために運用に求められるのは、出来上がったシステムをいかにきっちり動かして価値を提供していくか。そして、システムを企画する段階から、運用で提供する価値を考えて開発することである。

JTB情報システム 取締役 品質管理本部長 永井 雄二氏
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 運用は最下流の役割だといわれることがあるが、そうではない。ユーザーに最も近いのが運用の仕事だからだ。システムの改修やその他の要望がユーザーから挙がれば、運用のメンバーが自らユーザーのところに出向いて、直接コミュニケーションを取る。そして運用を起点とした企画・開発をして、運用につなげる循環工程を作ることが大事だ。

 そのために当社では、システムを開発した中核メンバーがそのまま運用を担当したり、運用を担当していたメンバーが次の開発に入ったりする。開発が終われば運用部門にそのまま引き渡す、ということはしない。

「システム稼働率」は使わない

 運用によるビジネス貢献を考えれば、ユーザーと合意するサービスレベルの考え方も変わってくる。

 一般に、サービスレベルの指標として「システム稼働率」がある。システムの停止/稼働の割合を数値で表すものだ。当社ではこの稼働率という指標は使わず、「サービス提供率」を定義している。

 当社が提供する旅行商品のシステムは、1日のうちの時間帯によって、あるいは曜日や年間を通した特定の時期ごとに、トランザクション量は大きく変わる。ユーザーからすれば、閑散期と繁忙期では、システムが提供するビジネス価値は異なるのだ。

 サービス提供率では、このユーザーにとっての価値を反映する。商品やシステムの機能ごとに、1時間単位でその価値をポイント化して重み付けし、サービスレベルを定義する。例えば、先日ホノルルマラソン関連の商品の申し込みが始まった。申し込み開始時のポイントは、通常時の例えば5倍に設定するなどだ。

 システムが稼働していても、ユーザーが利用できない状態があれば停止とみなす。例えば、商品の照会機能がうまく動かない、一部の予約ができない、といったインシデントも記録し、サービス提供率に反映する。

 この指標を基に、ポイントが高いところに重点的にリソースを配置したり、対応の仕方を変えたりする。それにより、サービス提供率を最大化するのである。(談)